東京理科大学と東京農工大学は、認知症などの神経変性疾患で血液中に増加するニューロフィラメント軽鎖を、高精度に捉えるDNAアプタマーを発見した。アルツハイマー病など神経変性疾患の診断などへの応用が期待される。
東京理科大学は2026年3月10日、東京農工大学と共同で、認知症などの神経変性疾患で血液中に増加するニューロフィラメント軽鎖(NfL)を、高精度に捉えるDNAアプタマーを発見したと発表した。アルツハイマー病などの進行度を血液検査で評価する次世代診断法の開発が進むことが期待される。
NfLは、神経が損傷した際に血液中へ放出されるタンパク質だ。血中では極めて微量のため、正確な測定には高い親和性を持つリガンドが必要とされる。
研究では、合成DNAでできたリガンドのDNAアプタマーに着目。DNAアプタマーは、特定の物質に特異的に結合する短いDNA分子で、完全化学合成が可能という利点を持つ。そこで、多様な塩基配列を持つDNAライブラリーからSELEX(試験管内進化法)を用いてスクリーニングし、候補分子を得た。得られたDNA配列のうち、さらに安定して扱える候補アプタマーを選抜し、評価試験を実施した。
その結果、候補アプタマーは全長NfLに結合し、NfLの281〜338番目のアミノ酸領域を主に認識することが明らかとなった。認知症では、この領域を含むNfLが血液中で増加しているとされている。
候補アプタマーのうちMN711とMN734という2種類について分子の立体構造を解析したところ、どちらもグアニン四重鎖構造と呼ばれる特徴的な立体構造を取っていた。さらに、市販のNfL抗体に匹敵する結合親和性を有していた。
ヒト血漿を用いた検証においても、MN711はNfLの濃度上昇に応じて反応強度が高まることが確認され、血液成分が混在する環境下でも十分に機能することが示された。
同アプタマーは、バイオセンサーへの応用が可能だ。将来的には、認知症を含む神経変性疾患の診断、経過観察などの技術発展への貢献が期待される。
血液検査で認知症の予兆をキャッチする技術を開発
「週1回のチーズ」で認知症リスクが低下、明治らが1万人超の追跡調査で解明
のみ込む音をセンサーとAIで検知、高齢者の窒息防止へ
早期アルツハイマー病治療薬が病態進行を抑制するメカニズムの一端を解明
まるでウナギ? 脂肪を再現する細胞株で培養へ前進
ミカンの皮に含まれる成分で犬の認知症症状が改善Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
医療機器の記事ランキング
コーナーリンク