国立情報学研究所らは、カイコガの行動原理を応用し、2つあるセンサーの片側が故障しても精度を維持して匂いを探索できるロボットを開発した。長期自律探索機能を持つ災害救助ロボットなどへの応用が期待される。
国立情報学研究所(NII)らの研究グループは2026年3月10日、昆虫の行動原理を応用し、2つあるセンサーの片側が故障しても精度を落とさずに匂いの源を探索できるロボットを開発したと発表した。
同ロボットは、モデル生物であるカイコガの雄が性フェロモンを追跡する際の行動を分析して開発された。カイコガは片側の触角を失った状態でも、残された触角で匂いの情報を獲得し、信号の位置や自身の身体の向きの情報と統合することで、行動決定プロセスを変化させている。研究グループはこの知見を基に、片側のセンサー情報が欠損した場合も頑健性を保つ「生物規範型ロボティクス」を構築した。
室内および外乱の多い野外環境で同ロボットの実証実験を実施したところ、片側のセンサーが故障しても、探索性能が故障前と同等であることを確認できた。従来の匂い誘導型ロボットでは感覚器官の損傷が性能低下に直結していたが、昆虫を規範とする今回の適応戦略により、探索において高い成功率と効率を維持できることが分かった。
開発した技術は、災害救助や爆発物の探査、環境モニタリングなど、過酷な環境下で長期間の自律探索が求められるロボットシステムへの応用が期待されている。研究グループは、生物の巧みな行動戦略を工学的に応用することで、実用的なロボットの設計指針に貢献するとしている。
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