AMOLEA AS-300の分子構造設計では、「洗浄力の付与」「環境負荷の極小化」「安全性の向上」を目指した。
「次世代フッ素系溶剤を開発するに当り、6つのコンセプトをクリアするための分子設計に苦労し、試行錯誤を続ける中でようやくAMOLEA AS-300が誕生した」と光岡氏は振り返る。
「環境」に向けた取り組みに関しては、分子構造に二重結合を持たせることで、大気寿命を従来のフッ素系溶剤と比べて大幅に短くし、地球温暖化係数も極限まで下げたという。
「性能」に向けた取り組みについては、アサヒクリン AK-225のように分子中に塩素原子を配置することで、金属加工油に対する洗浄性を持たせた。
「安全性」では、従来のフッ素系溶剤と同様に、引火点を持たないようにするため、分子構造中の水素原子とハロゲン原子の比率を考慮。また、二重結合周辺の構造で毒性が変わる知見を基に、分子の配置にも配慮した。
さらに、洗浄や溶媒用途で最適な沸点(40〜60℃)を持つ5種類以上の候補化合物に絞り込み、同社の強みを生かせて経済的に商業生産が可能な「1-クロロ-2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HCFO-1233yd)」を選んだ。
AMOLEA AS-300のGWPは1未満で、メーカー推奨の許容濃度も250ppmと低毒性で安全に使用できる。油脂溶解性を示す指標のカウリブタノール(KB)値も48と高く洗浄力に優れ、臭素系洗浄剤(1-ブロモプロパン)や塩素系洗浄剤と同様に、鉱物油やフラックスなどの洗浄用途や、シリコーンオイルなどの希釈塗布溶媒用途にも適している。
花田氏は「洗浄機メーカーが開発を進めている低消耗/高効率の洗浄機(ハード)とAMOLEA AS-300(ソフト)の組み合わせにより、顧客に最大限の利益を提供できる。洗浄プロセスは、洗浄、すすぎ、乾燥の3工程で構成される。中でも、水系や炭化水素系が乾燥工程にかける電気エネルギーと比べてAMOLEA AS-300は消費電力を大幅に削減できるため、電気代のコストや電気を作るためのCO2排出の削減にも貢献する」とコメントした。
現在、AGCはグループ関連会社を通して、米国、欧州、アジア地域でAMOLEA AS-300を販売している。谷辺氏は「国内外でAMOLEA AS-300の引き合いは増えており、売上高も伸長している」という。
花田氏は「AMOLEA AS-300は新規化学物質登録制度のある米国、欧州、中国、韓国、台湾などの国の審査をパスしており、世界のほとんどの国に輸出できる」と説明した。
今後も、環境に優しい点や安全性と洗浄力が高い点などを生かし、国内外で販売数量を伸ばす考えだ。花田氏は、「AMOLEA AS-300は、上述の6つのコンセプトをクリアできる唯一無二のフッ素系溶剤として、当社におけるフッ素溶剤の最適解と考えている。だからこそ、将来にわたって長く使ってもらえる製品であり、今後も顧客への価値の提供を続けていきたい」と展望を明かした。
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