一方で、システム導入において企業にとって最大の障壁となりやすいのが、入力する「データの収集や可視化」そのものである。2026年3月18日に開催されたアイディオットの説明会でも、報道陣から「分析ツールの提供以前に、データ収集こそが一番手前の課題ではないか」との指摘が挙がった。
これに対し、井上氏は「導入時は、アイディオットのコンサルタントがデータ収集や構築を直接支援するメニューも用意している。本格稼働までに3カ月から半年ほどかけて、企業ごとの『物流デジタルツイン』を伴走しながら作り上げていく」と回答し、ツール提供にとどまらない伴走型の支援体制を強調した。
なお、同サービスの利用料金は初期費用が50万円から、月額費用が30万円からとなっており、扱うデータ量や導入拠点数によって変動する。
説明会後に行ったトークセッションには、日清食品 常務取締役(日経ビジネス主催 第1回CLOオブザイヤー受賞)の深井雅裕氏、ヤマト運輸株式会社 取締役 副社長執行役員の恵谷洋氏、PALTAC 専務執行役員 研究開発本部長の三木田雅和氏が登壇した。荷主、卸売業、物流事業者のそれぞれの視点から、サプライチェーン全体の最適化に向けた課題と展望について意見を交わした。
深井氏は、日清食品のように調達から販売までのサプライチェーンが長い企業においては、データの分断が大きな壁になっていたと振り返る。これまで資材部、生産部、営業部、物流部など部門ごとにシステムやKPIが異なり、部分最適に陥っていたという。「最も苦労したのは部門間の認識合わせやゴールのすり合わせだ。約6年かけてデータの可視化を進め、各部門が共通のKPIを持てるようになったことで、現在は全体最適化を考えるフェーズに入っている」と語った。
ヤマト運輸の恵谷氏は物流事業者側の視点として、「物流は従来の『単なるモノの移動』から、経営目線で考えるべき戦略になってきている」と指摘。そのうえで、「荷主企業と物流企業がどのレベルで情報を連携できるかが、サプライチェーン全体を最適化する要になる」と情報連携の重要性を強調した。
また、卸売業としてメーカーと小売の間に立つPALTACの三木田氏は、「1社単独ではなく全体最適化を図るためにはフィジカルインターネットの実現が不可欠だ」と言及した。PALTACではマスターデータや物流資材の標準化を進める他、ASN(事前出荷情報)データの活用、伝票レス運用などを通じて、作業時間の削減を達成したなどの取り組みを紹介した。
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