注入後、キャビティに残留する溶湯を一定時間高圧保持する(保圧工程)。これにより、凝固時の収縮を抑え、内部空隙を低減する(図13)。キャビティが初期段階で固まり始めると、冷却系も働き、完全凝固を促す。
成形品が十分に固化したら、型を開く準備を行う。型締めクランプ開放後、金型を開く(図14)。
まず、本体ドアが開き、固化した鋳物である成形品をロボットが取り出す。そして、成形品の焼き入れ熱処理を行う(図15)。
先述した「型開き中の金型清掃/離型処理」をあらためて行う。すなわち、次のサイクルに備えて金型を洗浄/点検し、離型処理を行う。これにより、金型の寿命を維持し、品質を安定化させる(図16)。
図16 型開き中、ロボットによる金型キャビティ面の清掃/除去と金型キャビティ面への離型剤(潤滑剤)スプレー塗布、鋳造後の金型からの成形品離型処理[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成成形品をロボットで焼き入れ槽(タンク)に入れて、成形品の温度を400〜500℃(カ氏で750〜1200度)に下げる(図17)。
次に、トリム工程として、別所のプレス機械にロボットで成形品をセットし、プレス加工により湯道、湯だまりを除去する。つまり、成形品の荒加工としておおよそのエッジや継手用の穴を切断/除去し、余分なアルミニウムを溶解オーブンにリサイクルする(図18)。
図18 トリム工程のプレス加工機による成形品の荒加工[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成荒加工後の中間製品の形状を、プラズマレーザー加工によって部品形状を100分の1mm以内の寸法公差に仕上げ、製品とする。つまり、トリム工程の仕上げ加工としてプラズマレーザーで切断/トリミング(余肉除去)され、継手用の穴が仕上げられる(図19)。
図19 トリム工程のプラズマレーザー加工機による成形品の仕上げ加工[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成その後、成形品の検査工程へと送られる。検査工程として、X線検査装置で鋳物の成形品の内部構造をX線検査し、いわゆる巣の有無を確認する。また、成形品の寸法公差や精度をチェック(スキャン、寸法測定など)するためにコンピュータ制御の非接触3次元形状測定器で測定される。
これまでのサイクルを繰り返すことで、高頻度で成形部品の鋳造を連続稼働する。
次回は、テスラについて解説する予定である。(次回に続く)
武藤 一夫(むとう かずお) 武藤技術研究所 代表取締役社長 博士(工学)
1982年以来、職業能力開発総合大(旧訓練大学校)で約29年、静岡理工科大学に4年、豊橋技術科学大学に2年、八戸工業大学大学に8年、合計43年間大学教員を務める。2018年に株式会社武藤技術研究所を起業し、同社の代表取締役社長に就任。自動車技術会フェロー。
トヨタ自動車をはじめ多くの企業での招待講演や、日刊工業新聞社主催セミナー講演などに登壇。マツダ系のティア1サプライヤーをはじめ多くの企業でのコンサルなどにも従事。AE(アコースティック・エミッション)センシングとそのセンサー開発などにも携わる。著書は機械加工、計測、メカトロ、金型設計、加工、CAD/CAE/CAM/CAT/Network,デジタルマニュファクチャリング、辞書など32冊にわたる。学術論文58件、専門雑誌への記事掲載200件以上。技能審議会委員、検定委員、自動車技術会編集委員などを歴任。
ギガキャストの超巨大ダイカスト成形機「ギガプレス」はどうやって作られたのか
ギガキャストの基礎的な鋳造法「ダイカスト」とは何か
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技術開発に専念した豊田佐吉の発明の数々、ついに英米の織機技術に肩を並べるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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