ギガキャストを可能にした「ギガプレス」の開発企業と動作サイクルを深掘りするいまさら聞けないギガキャスト入門(4)(5/5 ページ)

» 2026年02月24日 07時00分 公開
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(6)保圧/凝固

 注入後、キャビティに残留する溶湯を一定時間高圧保持する(保圧工程)。これにより、凝固時の収縮を抑え、内部空隙を低減する(図13)。キャビティが初期段階で固まり始めると、冷却系も働き、完全凝固を促す。

図13 図13 保圧/凝固[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(7)型開き(金型開放)/突き出し/成形品の取り出し

 成形品が十分に固化したら、型を開く準備を行う。型締めクランプ開放後、金型を開く(図14)。

図14 図14 型開きの状態[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(8)成形品取り出し/後処理

 まず、本体ドアが開き、固化した鋳物である成形品をロボットが取り出す。そして、成形品の焼き入れ熱処理を行う(図15)。

図15 図15 成形品取り出し/後処理[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(9)型洗浄/予備工程

 先述した「型開き中の金型清掃/離型処理」をあらためて行う。すなわち、次のサイクルに備えて金型を洗浄/点検し、離型処理を行う。これにより、金型の寿命を維持し、品質を安定化させる(図16)。

図16 図16 型開き中、ロボットによる金型キャビティ面の清掃/除去と金型キャビティ面への離型剤(潤滑剤)スプレー塗布、鋳造後の金型からの成形品離型処理[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(10)成形品の焼き入れ熱処理工程

 成形品をロボットで焼き入れ槽(タンク)に入れて、成形品の温度を400〜500℃(カ氏で750〜1200度)に下げる(図17)。

図17 図17 成形品の焼き入れ熱処理工程[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(11)トリム工程の荒加工

 次に、トリム工程として、別所のプレス機械にロボットで成形品をセットし、プレス加工により湯道、湯だまりを除去する。つまり、成形品の荒加工としておおよそのエッジや継手用の穴を切断/除去し、余分なアルミニウムを溶解オーブンにリサイクルする(図18)。

図18 図18 トリム工程のプレス加工機による成形品の荒加工[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

(12)トリム工程の仕上げ加工

 荒加工後の中間製品の形状を、プラズマレーザー加工によって部品形状を100分の1mm以内の寸法公差に仕上げ、製品とする。つまり、トリム工程の仕上げ加工としてプラズマレーザーで切断/トリミング(余肉除去)され、継手用の穴が仕上げられる(図19)。

図19 図19 トリム工程のプラズマレーザー加工機による成形品の仕上げ加工[クリックで拡大] 出所:「Haitian Die Casting-HDC8800 LARGE DIE CASTING CELL」の動画を基に筆者が編集作成

 その後、成形品の検査工程へと送られる。検査工程として、X線検査装置で鋳物の成形品の内部構造をX線検査し、いわゆる巣の有無を確認する。また、成形品の寸法公差や精度をチェック(スキャン、寸法測定など)するためにコンピュータ制御の非接触3次元形状測定器で測定される。

(13)これまでのサイクルの繰り返し

 これまでのサイクルを繰り返すことで、高頻度で成形部品の鋳造を連続稼働する。



 次回は、テスラについて解説する予定である。(次回に続く)

参考/引用文献

  1. 武藤一夫「図解よくわかる機械加工」、共立出版社、2012年04月、ISBN:9784320081888
  2. 武藤一夫、高松英次「これだけは知っておきたい金型設計・加工技術」、日刊工業新聞社、1995年1月、ISBN:9784526036439
  3. 武藤一夫「エンジニア必携トヨタにまなぶ デジタル生産事例・用語集」、産業図書、2021年12月、ISBN:9784782841082
  4. 武藤一夫「図解CAD/CAM入門 CAD/CAE/CAM/CATによるモノづくりを解説」、大河出版、2012年8月、ISBN:9784886617224
  5. 武藤一夫「進化し続けるトヨタのデジタル生産システムのすべて」、技術評論社、2007年12月、ISBN:9784774132822
  6. KMA-Filter
  7. costampgroup.com
  8. idragroup.com
  9. The Giga casting Newsletter
  10. foundry-planet.com
  11. gifa.com

筆者プロフィール

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武藤 一夫(むとう かずお) 武藤技術研究所 代表取締役社長 博士(工学)

1982年以来、職業能力開発総合大(旧訓練大学校)で約29年、静岡理工科大学に4年、豊橋技術科学大学に2年、八戸工業大学大学に8年、合計43年間大学教員を務める。2018年に株式会社武藤技術研究所を起業し、同社の代表取締役社長に就任。自動車技術会フェロー。

トヨタ自動車をはじめ多くの企業での招待講演や、日刊工業新聞社主催セミナー講演などに登壇。マツダ系のティア1サプライヤーをはじめ多くの企業でのコンサルなどにも従事。AE(アコースティック・エミッション)センシングとそのセンサー開発などにも携わる。著書は機械加工、計測、メカトロ、金型設計、加工、CAD/CAE/CAM/CAT/Network,デジタルマニュファクチャリング、辞書など32冊にわたる。学術論文58件、専門雑誌への記事掲載200件以上。技能審議会委員、検定委員、自動車技術会編集委員などを歴任。


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