「環境配慮型素材は使いにくい」という考え方が変わるかもしれない。グンゼが12月に販売開始する新収縮フィルム「GEOPLAS HCR1」は、ラベル端材を脱墨処理した再生原料を使用しながら、最大74%という高い収縮率を実現している。
グンゼは2025年12月1日、ハイブリッド収縮フィルム「GEOPLAS HCR1 24μm/35μm(以下、GEOPLAS HCR1)」を同月に販売開始すると発表した。
国内外で脱プラスチックの動きが進む一方、生活の利便性や衛生性などの観点から、プラスチックの有用性が改めて注目されている。こうした状況下で、プラスチックを廃棄せず循環させるための技術開発やリサイクルスキーム構築の重要性は一層高まっている。
しかし、プラスチックフィルムのリサイクルは、材料特性や回収ルート、コストなどの制約により、これまで本格的な導入が進みにくい状況にあった。中でも一般的な「マスバランス方式」は、製品の一部にリサイクル由来の価値を割り当てる手法であるため、その証明には第三者認証が必須となるなど、実装上の課題が残っていた。
そこで、グンゼはリサイクル工程の効率化に貢献する新たな脱墨(だつぼく)技術を確立し、この技術を活用したGEOPLAS HCR1を販売開始する。同製品は、ラベル端材を回収して水平リサイクルした脱墨原料を配合している他、環境負荷を抑えながら多様なボトルに装着できる設計を採用している。脱墨とは、印刷加工を施したフィルムなどから、インキや接着剤成分を除去することを指す。
今回の製品は、顧客から回収したラベル端材を脱墨処理した再生原料を使用している。製品厚み24μmのタイプで1%、35μmのタイプで5%の再生原料を活用している。加えて、最大収縮率が74%と収縮性に優れ、収縮仕上がりが良好で、異形ボトルにも対応可能だ。ミシン目に沿って容易に剥離も行え、分別性を高められる。
今後、グンゼは製品のリサイクル率を順次高め、2030年にはリサイクル率100%の実現を目指す。合わせて、製品厚みのラインアップ拡充を進め、食品/トイレタリー市場など、用途のさらなる広がりに対応していく。
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