MMA事業を除くその他のセグメントに関して、スペシャリティマテリアルズ事業の売上高は前年同期比3%減の5206億円で、コア営業利益は同37%増の335億円となった。
同事業では、炭素繊維/コンポジット事業における売買差悪化やインフレなどに伴うコスト増加などがあった。しかし、半導体関連事業などで販売価格が向上したことで売買差が改善した他、高機能エンジニアリングプラスチックの需要が回復したことによる販売数量の増加や、各事業の生産拠点の見直しによる合理化効果などで増益となった。
同事業は、アドバンストフィルムズ&ポリマーズ事業、アドバンストソリューションズ事業、アドバンストコンポジット&シェイプス事業といったサブセグメントから成る。
アドバンストフィルムズ&ポリマーズ事業では、販売価格が維持/向上したが、トリアセテート繊維などの事業譲渡の影響に加え、ディスプレイ用途の顧客在庫調整や為替などの影響により売上高は減少した。
アドバンストソリューションズ事業では、各種製品の販売価格の維持/向上に加え、半導体製造に関する水処理装置案件の完成があったが、欧米における電気自動車(EV)向け電解液の需要減少や米国関税影響による印刷基幹部材の販売数量の減少などで、売上高は減った。
アドバンストコンポジット&シェイプス事業では、高機能エンジニアリングプラスチックの需要が増加したことで販売数量が増加したが、炭素繊維/コンポジット事業において需要が減少したことによる販売数量の減少や、販売価格の低下などで売上高は減少した。
MMA&デリバティブズ事業のサブセグメントであるコーティング&アディティブス事業では、塗料、接着剤、インキ、添加剤用途などの需要が減退したことで販売数量が減少し、売上高は減った。
ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ事業の売上高は同28%減の3864億円で、コア営業利益は28億円の赤字となった。「前年同期と比べて93億円の赤字縮小だ」(木田氏)。同事業は、マテリアルズ&ポリマーズ事業や炭素といったサブセグメントから成る。マテリアルズ&ポリマーズ事業では、高純度テレフタル酸事業における特定子会社の株式譲渡の影響に加え、原料価格の下落に伴い販売価格が低下したことや為替影響などにより、売上高は減少した。
炭素事業では、コークス事業における特定子会社の株式譲渡の影響やコークス生産能力縮小に伴う販売数量の減少、原料価格の下落と需要の低迷に伴うコークスの販売価格低下などで、売上高は減った。
ケミカルズ事業の売上高は同16%減の1兆1521億円で、コア営業利益は同12%減の331億円となった。同事業のサブセグメントである産業ガス事業の売上高は同1%増の6470億円で、コア営業利益は同1%増の930億円だった。
同事業では、国内外の需要が軟調に推移したことによる減販と為替影響があったが、各地域で推進する価格マネジメントの効果があった。加えて、オーストラリアとニュージーランドにおける産業ガス事業の買収と新規連結の影響により、売上高は増えた。コア営業利益は、米国における電力単価などの上昇や欧米を中心とした数量差の悪化はあったが、コスト削減の効果により増加した。
足元の市況を踏まえて、2026年3月期通期業績予想に関して、売上高は前回予想比2%減の3兆6720億円、営業利益は同13%減の1760億円、コア営業利益は同6%減の2500億円、親会社に帰属する当期利益は同14%減の1250億円に下方修正した。
2025年下期においては、引き続きスペシャリティマテリアルズ事業における各製品の堅調な需要が見込まれるものの、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズ事業で扱う製品の軟調な需要や低調なMMAモノマー市況の早期の回復は期待しにくいという見通しだ。これらを踏まえて、下期の業績予想を見直した。
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