メタバースで技術者育成、NECがMicrosoft MeshとMeta Quest 3で実現CEATEC 2025

NECは「CEATEC 2025」において、VR空間上に研修/トレーニング環境を構築する「バーチャルトレーニングセンター」を紹介した。ダイキン工業では空調機の点検研修に同技術を採用。国内約2000人のサービスエンジニアの研修に活用する。

» 2025年10月16日 06時15分 公開
[安藤照乃MONOist]

 NECは「CEATEC 2025」(2025年10月14〜17日、幕張メッセ)において、VR(仮想現実)空間に研修/トレーニング環境を構築し遠隔での作業体験を可能にする「バーチャルトレーニングセンター」を展示した。

 ダイキン工業は空調機の点検/診断研修にNECのバーチャルトレーニングセンターを採用し、2024年10月から運用を開始した。同研修をバーチャル化することで、研修期間は5年から3年に短縮できる見込み。当面はダイキン工業の協力会社を含む国内のサービスエンジニア約2000人を対象とし、将来的には同社のグローバル人材を含めて1万人規模に拡大する計画だという。

ダイキン工業の運用事例 ダイキン工業の運用事例[クリックで拡大]

 トレーニングの受講者はVRデバイスを装着して、クラウド上に構築したVR空間で研修を受ける。VRデバイスが受講者の体の傾きや手の動きを認識し、画面上に受講者の手を投影して操作を行う仕組みだ。バーチャルトレーニングセンターのVR空間の構築にはMicrosoftが提供するB2Bメタバースプラットフォーム「Microsoft Mesh」、VRデバイスにはMetaが提供する「Meta Quest 3」をそれぞれ採用している。

VRデバイスには「Meta Quest 3」を採用した VRデバイスには「Meta Quest 3」を採用した[クリックで拡大]

 NECの展示ブースでは、VR空間内に構築した電気設備のトレーニングセンターにおいて、ドライバーを操作して行うバッテリー交換や、ケーブルの付け替え作業などを来場者が体験できるデモンストレーションを披露した。

動画 「バーチャルトレーニングセンター」のデモンストレーション[クリックで再生]

 このデモンストレーションでは、ブレーカーの電源を落とさずに誤って次の操作を行おうとすると、火花の演出とともに警告が表示された。このように、「実際のトレーニングでは体験が難しい危険を伴う操作ミスなどを、安全に再現して学習できるようにすることで、教育効果の向上に期待したい」(NECの説明員)という。

 トレーニング後は受講者ごとの結果を可視化し分析することで、習熟度別の傾向や不要な作業プロセスを明確化できる。さらに、研修で取得した技能資格を分散型デジタル(VC)資格証明書として発行する機能や、生成AIによる訓練結果のレポート出力などの機能実装を進めているという。

 従来研修を実施する場合は、受講者がトレーニングセンターに行ったり、各工場に講師が赴いたりといった移動が必要だった。この移動にかかる時間と費用が研修の大きな負担となっており、さらに講師不足も課題になっていた。NECはバーチャルトレーニングセンターでの研修を普及させることで、移動時間の削減や短期間での技能向上、物理的トレーニング設備の効率化によるコスト削減に寄与したい考えだ。

バーチャルトレーニングセンターの説明 バーチャルトレーニングセンターの説明[クリックで拡大]

 受講者ごとのトレーニング結果を可視化し分析する 受講者ごとのトレーニング結果を可視化し分析する[クリックで拡大]

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