宇宙とつながる、“痛み”を伝える、声を選ぶ――CEATEC AWARD 2025の注目技術製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

JEITAは「CEATEC 2025」の開催概要とともに、出展企業から優れた技術を表彰する「CEATEC AWARD 2025」を発表。シャープが総務大臣賞、NTTドコモが経済産業大臣賞、村田製作所がデジタル大臣賞を受賞した。

» 2025年10月08日 07時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 電子情報技術産業協会(JEITA)は2025年10月7日、同年10月14〜17日に千葉県の幕張メッセで開催する「CEATEC 2025(シーテック2025)」の開催概要を発表するとともに、出展企業の中から優れた技術を表彰する「CEATEC AWARD 2025」の受賞結果を公表した。

 総務大臣賞はシャープの「小型・軽量LEO(Low Earth Orbit:低軌道)衛星向けユーザー端末試作機」、経済産業大臣賞はNTTドコモの「“痛み”の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」、デジタル大臣賞は村田製作所の「マスク装着型デバイス make voice clip」がそれぞれ受賞した。

2025年は過去3番目に多い810社/団体が出展

 CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏 CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏

 CEATECは2000年に第1回目が開催され、2025年の今年は26回目となる。前回は日本自動車工業会が主催する「Japan Mobility Show Bizweek 2024」と初の併催で行ったが、2025年は単独開催となる。

 幕張メッセの1〜6ホールを利用し、出展数は810社/団体に上る。うちスタートアップ/大学研究機関の出展数は前年比2割増の232社/団体と、過去最多実績を更新した。4日間の会期中、JEITAは来場者数10万人超を見込んでいる。

 2025年の出展傾向について、CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は「前回まではAI(人工知能)技術そのものや製造現場向けの製品が中心だったが、今回はAIエージェントを通じて一般消費者に価値を提供する製品が増えてきている」と述べた。

小型/軽量化であらゆる場所での衛星通信が可能――シャープ

 総務大臣賞は、シャープの「電子制御式フェーズドアレイアンテナ搭載 小型・軽量LEO衛星向けユーザー端末試作機」が受賞した。同社はスマートフォン開発で培った設計技術を応用し、サイズ約45×45cm、重量約7kgという従来のLEO衛星通信端末より大幅な小型/軽量化を実現した。

 SpaceXの「Starlink」などで知られるLEO衛星通信は、山間部や海上、離島など、セルラー通信が困難な場所においても高速かつ大容量通信を可能とする。今回の端末の小型/軽量化により、前述のようなエリアで運用される建機や農機、船舶などへの搭載が実現可能となる。

 今後はドローンや自動車などモビリティへの搭載も視野に入れており、サイズ約20×20cm、重量約1kgの超小型機(会場ではコンセプトモデルを参考出展)の開発も進めている。

 (左)シャープのLEO衛星通信ユーザー端末。サイズ約45×45cm/重量約7kg。(右)同約20×20cm/約1kgに小型/軽量化したLEO衛星通信ユーザー端末(コンセプトモデル)も開発中だ (左)シャープのLEO衛星通信ユーザー端末。サイズ約45×45cm/重量約7kg。(右)同約20×20cm/約1kgに小型/軽量化したLEO衛星通信ユーザー端末(コンセプトモデル)も開発中だ[クリックで拡大]

 同端末は5G NTN(5G非陸上ネットワーク)通信にも対応している。将来的には、すでに広く普及している5G通信方式とLEO衛星通信を融合することで、自動運転制御など低遅延が求められる分野にも対応可能できるようになるという。

 「現在各衛星はバラバラな通信方式を採用しているが、2030年以降の5G NTN規格の共通化を当社が主導し、通信機器の標準化も目指す」(シャープの担当者)

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