欧州連合(EU)では2025年2月に包装/包装廃棄物規則(PPWR)が発効された。PPWRの要件適用は2026年8月に順次スタートし、それに伴い早ければ2030年にはプラスチック包装材に一定割合以上の再生原料使用が義務付けられ、欧州で展開する国内企業も対応を迫られる。パンテックはこの難題を一気に解決する新サービスを発表した。
プラスチックリサイクルのトータルプロデュース事業を展開するパンテックは2025年10月15日、使用済みストレッチフィルム由来の再生プラスチック原料を用いたポリエチレン製の包装資材をオーダーメイドできるサービスの提供を開始したと発表した。
国内外でサーキュラーエコノミー(循環経済)が推進される中、欧州連合(EU)では包装資材のサステナビリティ向上を図ることを目的に、2025年2月に包装/包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation:PPWR)が発効され、2026年8月から要件が順次適用開始される予定だ。早ければ2030年には、プラスチック包装材をリサイクルできる仕様にすることや一定割合以上の再生プラスチック原料を使用することなどの要件が適用開始されると見込まれている。
PPWRの要件を満たさない包装の製品は欧州市場で販売できなくなるため、欧州で事業展開する日本企業もPPWRへの対応が求められるという。
一方、パンテックでは、PPWR対応を検討する日本のブランドオーナーやメーカーから、「バージンプラスチック100%で作られた包装資材を、再生プラスチックを使用した包装資材に切り替えたい」との要望を多く受けた。そこで、使用済みストレッチフィルムを回収/再生原料化し、再びフィルム製品へと水平リサイクルする自社ブランド「Filmate」の知見を生かし、今回のサービスの提供を開始した。
新サービスでは、用途や仕様、必要数量などの要望に合わせて、国内外の提携フィルム製品メーカーで使用済みストレッチフィルム由来の再生プラスチック原料を用いて、「規格袋」「チャック付きポリ袋」「ガーメントカバー」「パレットカバー」「手提げ袋」「ショッパー」などの包装資材のオーダーメイドに応じる。
同サービスで供給する包装資材は全て再生プラスチックを原料に使用しているため、バージン原料100%で作られている従来品に比べて、ライフサイクルにおけるCO2の排出量や化石燃料の使用を抑えられる。使用後も分別/回収し、フィルム製品に再資源化することで、水平リサイクルが可能だ。
なお、使用済みフィルムの回収から再生原料化、フィルム製品の設計/製造、流通に至る一連のプロセスをパンテックが一貫して行っている。
既に欧州市場で事業展開する自動車部品メーカーやアパレルブランドなどの企業から新サービスについての受注と引き合いを受けているという。
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