キリンが遊園地でボトルtoボトル、遊びとリサイクルを融合リサイクルニュース

キリンビバレッジと遊園地「よみうりランド」は、よみうりランドで使用済みペットボトルを回収してペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」水平リサイクルの取り組みを、2024年8月から協同で開始する。

» 2024年08月02日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 キリンビバレッジと遊園地「よみうりランド」は2024年8月1日、よみうりランドで使用済みペットボトルを回収してペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」水平リサイクルの取り組みを、同月から協同で開始すると発表した。

 よみうりランドでは、イベント「2024夏期自由研究応援プログラム 遊びながらSDGs を学ぼう!!」において、リサイクルの啓発を目的としたワークショップを同月21日に開催する。

年間約50トンの使用済みペットボトルをより低コストでボトルtoボトル

 日本では、使用済みペットボトルは回収後に幅広い用途でリサイクルされることが多いため、PETボトルリサイクル推進協議会の「PETボトルリサイクル年次報告書2023」によれば、2022年の「ボトルtoボトル」水平リサイクルの実施割合は29%にとどまっている。

 また、一度ペットボトル以外のペット製品に再生されたものをペットボトルに再生することは技術的に困難であることに加え、回収された使用済みペットボトルにごみなどの異物が混在していることも「ボトルtoボトル」の推進を阻害する要因になっている。

 そのため、リサイクルに適した良質な使用済みペットボトルを安定的に確保することが喫緊の課題だ。プラスチックを循環し続ける社会の実現のためには、再生ペット樹脂のコストを低く抑える必要もあるため、回収スキームの効率化も求められている。

 そこで、今回両社は、よみうりランド内に設置されているリサイクルボックスの回収を一括して行うスキームと、園内で集まったペットボトルをペットボトルへ再生する水平リサイクルモデルを協同で構築し、運用を開始する。

 今回の取り組みでは、よみうりランド内に設置しているリサイクルボックスから使用済みペットボトルを回収し、リサイクル会社の彩源でペットボトルの中間処理を行い、リサイクラーである豊通ペットリサイクルシステムズに供給した上で同社が樹脂の再原料化を行い、キリンビバレッジが再生ペット樹脂を使用した容器の飲料の製造を行う。

よみうりランドにおけるペットボトル水平リサイクルの流れ よみうりランドにおけるペットボトル水平リサイクルの流れ[クリックで拡大] 出所:キリンビバレッジ

 これらの取り組みにより、リサイクルモデルを確立することで、「ボトルtoボトル」に向けた社会インフラの拡充を実現する。今回のスキームを適用することで、よみうりランドにおけるリサイクルボックスの回収コストの低減と中間処理までのルートの効率化が可能となり、年間約50トンの使用済みペットボトルを、より低コストでボトルtoボトルできるようになる。

 なお、2024夏期自由研究応援プログラム 遊びながらSDGs を学ぼう!!において、キリンビバレッジは、このイベントの一環として、リサイクルの啓発を目的としたワークショップ「ペットボトルキャップでコースターをつくろう。(推奨年齢:小学1年〜6年生)」を主催する。

 このワークショップは、よみうりランド内で回収し、洗浄/粉砕したペットボトルのキャップを樹脂でコーティングした素材を使う、アップサイクルワークショップだ。さまざまな色のキャップが取り付けられたコースター作りを間近で見ることで、プラスチック製品の成型方法とリサイクルについて学ぶことができる。

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