GMOは創業から30年以上にわたって、インターネット接続、クラウド、決済、セキュリティといったネットワークインフラ事業を手掛けており、サイバーセキュリティ事業にも注力している。現在グループは122社、約8000人の従業員から構成されており、そのうち1100人がセキュリティ事業に従事し、政府や警察、自衛隊への技術支援も行っている。熊谷氏は「ホワイトハッカー、スーパーハッカーが多数在籍している。おそらく国内の約半数のホワイトハッカーがGMOの社員」だとアピールした。
熊谷氏は「AIとロボットはネットを通じて通信する。だからこそわれわれが積み上げたセキュリティ技術を社会実装に生かせる」と述べる。そして同氏は「マルチモーダル化を目指すAIベンチャーと、自律化を目指すロボットベンチャーは相思相愛だ」とあらためて強調し、GMOは「AIとロボット産業の仲人を目指したい」と意気込む。
GMOは既存のネット事業でもコンテンツ産業そのものには関与せず「インフラ」や「決済」を提供する立場を維持している。熊谷氏はイベント終了後の質疑応答で「AIロボティクス分野でもコンテンツ事業者を下支えする役割を担いたい」と述べている。
最後に熊谷氏は、同イベントの目的を「AIロボティクスに関わる問題意識の共有」だと述べ、「産業を進化させるため、日本の産官学連携の象徴となる場所。日本の未来を担う熱い志を持つ方が集結している。政府、学術、民間企業、最先端の知識を持ち寄り、新たな連携を生み出す。子どもたちが夢を追い求め安心して学び、成長できる未来を共に築こう」と呼びかけ、「全ての人にインターネット」という同社のキャッチフレーズで講演を締めくくった。
なお、熊谷氏は講演の中で「生成AIとロボティクスは人類史上最大の技術革命」だという言葉を何度も繰り返した。約40分間にわたった質疑応答では、ネットインフラ企業であるGMOがなぜヒューマノイドに取り組むのか、それが社会や産業にどう影響するのか、実際の普及シナリオと課題は何かといった点に対して質問が集中した。
熊谷氏は、まだ売上高目標などの定量的な数値はなく、啓蒙(けいもう)や社会実装活動の段階にあるとする一方で、「ヒューマノイドは間違いなく自動車産業を超える規模に成長する」と強調する。そして、「指の精緻な動きや速度など実用上の課題はまだまだあるもののこれから数年で改善される」との見方を示した上で、「価格が低下すれば一気に普及するだろう」と今後の流れを楽観的に語り、GMOが社会実装の事例を積極的に発信する方針であることを示した。
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