GMOは意志決定の高速化が必要という考えの下、2024年から「GMO Brain AI プロジェクト」を進めており、2024年12月には「AI 熊谷正寿」を社内ポータルサイトで提供開始した。同社グループの約8000人が活用しているという。今回のイベントでは、Unitree RoboticsのG1を使ってAI 熊谷正寿を実体化させた「ヒューマノイド 熊谷正寿」が初披露された。
熊谷氏は「私は寝て食ってサボるが、彼は24時間365日働く。時間効率は3倍。しかもコピーが無限に可能だ」と述べ、「無限の可能性を秘めているのがヒューマノイド」だと紹介した。現段階では実験フェーズであり、データを収集/分析して社会実装の意義を定量的に示すことを目指していくという。
残念ながら日本企業の名前はヒューマノイド関連ニュースには出てこない。企業の動きは限定的なレベルにとどまっており大企業のR&Dも本格的な商用化に至っていない。一方、中国政府は大規模なヒューマノイド大会を開催。ヒューマノイド開発企業も110社あると見られている。熊谷氏は「ヒューマノイドは最大の技術革命であり、日本はモノづくりに強い国であるとされてきたにもかかわらず、制度/資金/人材面で大きく後れを取っている」とあらためて指摘する。
熊谷氏は「少子高齢化という課題ですら強みに変える潜在一隅のチャンス。『失われた30年』の停滞を打ち破る鍵はこのAIとロボットにある」と述べ、ドローンと「空飛ぶクルマ」の実装が思うように進んでいない現状についても触れた。
なお、熊谷氏は自家用機操縦士免許を持っており、大阪・関西万博開催前の実証実験飛行にも参加した。しかし、日本国内では官民の連携がうまくいっておらず、商用飛行の開始に向けた動きは依然として進んでいない。一方、世界のドローンの7割を生産しているといわれる中国は「交通の3次元化」による「低空産業革命」を起こしており、物流その他の分野でも活用が進んでいる。
また、熊谷氏は「ドローンは平和利用のニュースよりも殺人兵器としての報道の方が多い」とも指摘する。ヒューマノイドも同様の道をたどる危険性があると述べ、「今こそ日本は産官学が一致団結して連携し、世界に先駆けてAIロボティクスの平和利用のイニシアチブを取るべきだ」と呼びかけた。
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