ヌセルト数と熱伝達率hの関係式を使って、式41を変形します。
ヌセルト数は、その定義から以下の値となりました。
伝熱関係の文献では、ヌセルト数は4.36[-]と書かれていますが、本当は48/11[-]だったんですね。原稿を書きながら「へぇ〜」と思いました。
カルマン渦のシミュレーションは、筆者が学生のころ、どこかの研究論文に記載されてはいましたが、当時の筆者にとっては夢のまた夢でした。今では、1時間ほどで計算できてしまいますので紹介します。
例えば、防波堤などで釣り竿を半分くらい水中に沈めて動かすと、「ブルブルブルッ」と抵抗力が振動します。これがカルマン渦です。
カルマン渦のシミュレーション結果を動画1に示します。
図8に、このシミュレーションの境界条件を示します。奥行き方向のセル数は1で、もちろん層流解析です。
次回は、外部流れの対流熱伝達シミュレーションを紹介し、ダクトに巻く断熱材の設計を行ってみましょう。 (次回へ続く)
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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