微分方程式の式16は導出できたものの、筆者の数学力ではこの解は分かりません。そこで、筆者お気に入りのExcel積分で探りを入れてみましょう。図4は、そのExcel積分シートです。
半径方向座標を刻み幅Δrで分割し、Δrピッチで縦方向に並べます。r=0[m]の熱流束はゼロなので、その値を代入しておきます。i=iでの熱流束qiが求まったとき、次のqi+1を求めることが目標です。
図示した式を使ってdq/drを計算し、微分方程式式16の各項を評価します。これらの総和を求めるセルを作成し、その合計がゼロになるように(つまり、方程式が成り立つように)、Excelのゴールシーク機能を使ってqi+1を求めます。この作業を、全てのrの位置で実行していきます。
取りあえず、数値的に求まった熱流束と、その半径方向での微分をグラフにしてみました。図5に示します。
続いて、Excelの近似曲線機能を使って近似式を求めます。熱流束qのグラフについては、多項式近似の次数が3のときにぴたりと一致しました。つまり、方程式の解はrの3次式で表されるようです。
方程式の解として式17を仮定しましょう。rの3次式です。
半径座標微分は式18となります。
式17と式18を、式16に代入して整理すると、次のようになります。
これがどのようなrであっても成立するということは、r2の係数がゼロ、r0の係数がゼロでなければなりません。これらをゼロとした次式からAとBが求まります。
少し自信がありませんが、方程式の解は次のようになるはずです。
では、確認してみましょう。r=0のとき、q=0になるはずです。代入してみます。
確かにそうなりました。次に、r=d/2のとき、q=qwになるはずです。こちらも代入してみましょう。
おおっ、こちらも合っています。式16をあらためて見ると、第1項はrの割り算なので、q(r)のrの次数を1つ下げています。第2項は微分なので、やはり次数が1つ下がります。そして第3項はrの2次式、第4項は定数。つまり、式16の右辺は、rの3次式と1次式の和になっていることに、この時点でぱっと気付くべきでした。
フーリエの法則によれば、熱流束を積分したものが温度分布になります。
上式に式21を代入して、計算を進めていきましょう。
次に、以下の境界条件を代入して積分定数を求めます。
積分定数が求まりました。これを式27に代入しておきます。
後の計算を簡単にするために、定数Fを設定しました。
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