長い通路を抜けると、そこはFCNTの地下実験室だったイノベーションのレシピ(5/5 ページ)

» 2025年08月29日 08時00分 公開
[八木沢篤MONOist]
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アンテナ性能の評価

 また、そのすぐ近くには、外部電波を完全に遮断し、内壁に吸収体(トゲ状の形状)が施された電波暗室が設置されていた。ここではアンテナ性能の評価を行う。スマートフォン(ツアーではarrows Alpha)とアンテナを3m離して配置し、ターンテーブルに載せたスマートフォンを回転させながら電波の強さを測定する。測定結果は、放射パターンとしてグラフ化され、方向ごとの電波強度を視覚的に確認できる。

電波暗室の内部。スマートフォンとアンテナが配置されている。スマートフォンはターンテーブルに載せられており、回転させながら電波の強さを測定する 電波暗室の内部。スマートフォンとアンテナが配置されている。スマートフォンはターンテーブルに載せられており、回転させながら電波の強さを測定する[クリックで拡大]
動画 アンテナ性能試験のデモの様子(撮影:MONOist編集部)
測定結果の放射パターン図測定用の機材(1)測定用の機材(2) (左)測定結果の放射パターン図/(中央)(右)測定用の機材が並ぶ[クリックで拡大]

おまけ:「arrows Alpha」の超急速充電もアピール

 実は、冒頭の音響性能試験の前に、NTTドコモから販売される「arrows Alpha F-51F」(以下、arrows Alpha)と、既に販売されている「arrows We F-51B」(以下、arrows We)で、充電速度の違いを確認するデモも行われていた。

 ツアーのスタート時点のバッテリー残量は、arrows Alphaが3%、arrows Weが1%であった。充電器は、arrows Alphaには同梱の最大90W対応ACアダプターを、arrows WeにはNTTドコモが販売する最大45W対応ACアダプター「ACアダプタ08」を使用した。

 その結果、最初の音響性能試験の見学が終わるころ(見学開始から15分後くらい)には、arrows Weが25%だったのに対し、arrows Alphaは71%まで充電されていることを確認できた。

写真右が「arrows Alpha F-51F」で左が「arrows We F-51B」。arrows Alphaは、バッテリー残量1%から100%まで約35分で急速充電できるという 写真右が「arrows Alpha F-51F」で左が「arrows We F-51B」。arrows Alphaは、バッテリー残量1%から100%まで約35分で急速充電できるという[クリックで拡大]


 今回の地下実験室ツアーは、FCNTが満を持して市場投入するarrows Alphaの魅力を、堅牢性や耐久性などの側面から紹介するものであり、同社が長年培ってきたジャパンクオリティーのモノづくりを体感できる非常に興味深い内容であった。レノボ傘下となったとはいえ、日本らしい丁寧なモノづくりの姿勢は健在であり、その信頼性を裏付ける試験の数々は、製品への安心感を高めるものとなっていた。

FCNTが2025年8月28日に販売を開始する「arrows Alpha」 FCNT 中央林間オフィスの地下実験室に向かう通路 スマートフォンのマイクやスピーカーの性能を評価するための試験設備 HATS 機材一式 スピーカーの音量を騒音計で計測している様子 通話音質試験用の防音室(1) 通話音質試験用の防音室(2) 試験用の機材 主に実施される評価試験の一部 1.5mコンクリート面落下試験(26方向)の装置 円すい落下試験の装置 円すい落下試験のおもり アスファルト面落下試験用のアスファルト Vビット(鋭鉄)落下試験の装置 Vビット(鋭鉄)落下試験に用いられる鋭鉄 フレーム部分に小さな傷が入ったものの、ディスプレイ部分は割れることなく無事だった 繰り返し落下試験の装置 その他の試験装置(1) その他の試験装置(2) その他の試験装置(3) 丸洗いやアルコール除菌などに耐えられるかを試験する手洗い場 自動化ができないため人の手でひたすら洗浄を繰り返す。壁には回数を記した「正」の文字が無数に並ぶ…… 無線性能試験を行うスペース FeliCaの評価を行うための機材(1) FeliCaの評価を行うための機材(2) シャープペンシルの芯先よりも小さい電子部品をピンセットでつかんで取り付ける作業なども伴うという。指で示している部分が拡大した芯先で、その左に2つ並ぶのが極小サイズのコンデンサーだ 電波暗室の内部。スマートフォンとアンテナが配置されている。スマートフォンはターンテーブルに載せられており、回転させながら電波の強さを測定する 測定結果の放射パターン図 測定用の機材(1) 測定用の機材(2) 写真右が「arrows Alpha F-51F」で左が「arrows We F-51B」。arrows Alphaは、バッテリー残量1%から100%まで約35分で急速充電できるという

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