サステナブルなモノづくりの実現

G-SHOCK 40周年モデルはパッケージもとことんエコ、カシオの環境配慮への取り組み製品開発の舞台裏(1/3 ページ)

2023年で誕生から40周年を迎えたカシオ計算機の耐衝撃ウォッチ「G-SHOCK」シリーズの40周年モデルに採用された“エコパッケージ”の取り組みについて、同社 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏に話を聞いた。

» 2023年10月12日 09時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 地球環境保護の観点から、石油由来のプラスチック使用量を削減し、再生材や植物由来の生分解性プラスチックといった代替材料への置き換えを図るなど、環境に配慮したサステナブルなモノづくりへの関心が高まっている。

 そうした中、バイオマスプラスチックなどを採用した製品づくりだけでなく、そのパッケージに対しても環境配慮を追求し、再生プラスチックやリサイクルペーパーなどを積極的に用いて、石油由来のプラスチック使用量の削減に注力する企業がある。カシオ計算機(以下、カシオ)だ。

 今年(2023年)で誕生から40周年を迎えたカシオの耐衝撃ウォッチ「G-SHOCK」シリーズの40周年モデルに採用された“エコパッケージ”の取り組みについて、同社 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏に話を聞いた。

カシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏 カシオ計算機 羽村技術センター 開発本部 開発推進統轄部 第一開発推進部 11開発推進室の工藤之欣氏[クリックで拡大]

カシオの時計パッケージにおける環境配慮への取り組み

 同社でエコパッケージの開発、採用が本格化し始めたのは、これまで「CASIO STANDARD」と呼ばれていた一般時計の製品群をシリーズ化し、「CASIO Collection」として新たに展開し始めた2021年ごろからだという。それ以前までは、トレー部にPS(ポリスチレン)材、外側にPET(ポリエチレンテレフタレート)材を使用したプラスチック素材を中心としたパッケージを採用していた。CASIO Collectionではこれを大きく見直し、「店頭などに陳列した際、外から時計が見える部分だけをプラスチック素材とし、それ以外を全て紙に置き換えたエコパッケージに変更した。これにより、従来のパッケージと比べてプラスチック使用量を約82%削減(同社比)できた」(工藤氏)。

カシオの一般時計のパッケージもエコ仕様に。 カシオの一般時計のパッケージもエコ仕様に。左がプラスチック素材を中心とした旧パッケージ、右がプラスチック使用量を約82%削減した新パッケージ[クリックで拡大]

 同じく、2021年10月にサービスを開始した“自分好みのG-SHOCKが作れる”カスタマイズサービス「MY G-SHOCK」のパッケージについても、エコパッケージが採用されている。MY G-SHOCKでは、前述のCASIO Collectionからさらに環境配慮を追求し、外箱、内箱ともに“プラスチックレス”のオール紙素材パッケージとなっている。内箱はタイムカプセルをイメージしたタマゴ型ケースになっており、パルプモールド成形により実現している。また、紙製の外箱に施されているG-SHOCKの設計図のデザインは環境に優しいベジタブルインキ(植物油インキ)によって印刷されており、切り抜いてペーパークラフト(紙製G-SHOCK)として楽しむことができる。

 「実は、パルプモールド成形の内箱に関してはバージンパルプ100%を使用している。エコを追求するならリサイクルペーパーを採用すべきだが、MY G-SHOCKが“何もないところから好きな時計を作り上げる”を具現化したサービスであり、“まっさらな状態から”というイメージを表現するために、あえて白色を強調できるバージンパルプ100%を採用することにした」(工藤氏)

「MY G-SHOCK」の外箱「MY G-SHOCK」の内箱 (左)「MY G-SHOCK」の外箱/(右)「MY G-SHOCK」の内箱。プラスチックを使用しないオール紙素材パッケージを採用している[クリックで拡大]

 以上のような取り組みを中心に、2021年以降、カシオではG-SHOCKを含む時計パッケージの“エコ化”を本格的に推進しており、今年(2023年)さまざまなラインアップを展開しているG-SHOCK 40周年モデルにもエコパッケージが適用されることとなった。

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