レノボ 大和研究所が推進する「ThinkPad」開発における環境負荷低減、サステナビリティの実現に向けた取り組みを紹介する。
今、PCを取り巻く市場環境に“ダイナミックな変化”が起きているという。この動きを後押しする要因の1つが調達基準の変化だ。「性能、重さ、機能、価格といった従来の基準ではなく、製品としてサステナビリティやESG(環境、社会、ガバナンス)への貢献が数字で求められるなど、価格や性能よりも環境負荷の低い製品が選ばれる傾向へと変わってきた」と語るのは、レノボ・ジャパン 執行役員常務 大和研究所の塚本泰通氏だ。特に欧州企業におけるPCの調達基準が環境負荷低減へ大きくシフトしており、日本でも今後同様の動きが加速するとみられている。
そうした中、「ThinkPad」の研究開発拠点として知られる大和研究所では、今後のPC開発の方向性、開発重点領域の1つに「持続可能性への対応」を掲げており、PC開発における環境負荷低減、サステナビリティの実現に向けた取り組みを強化している。
持続可能性への対応とは、具体的にはThinkPad開発における「再生プラスチック/再生金属」の採用、「プラスチックフリー梱包(こんぽう)」の実現、「低温はんだ(LTS:Low Temperature Solder)」技術の活用だ。
再生プラスチック/再生金属に関しては、2017年ごろから積極的に製品採用を推進しており、「特に、内部部品への再生プラスチックの採用、筐体部品への再生金属の採用に注力しており、これらの採用を順次拡大している」(レノボ・ジャパン サステイナブルテクノロジー&メカニカルQbD シニアマネージャーの天野将之氏)という。
現在、ThinkPadでは90%以上の高い再生材含有率を誇るポストコンシューマー再生資源(PCC)プラスチック(※注1)を、バッテリーフレーム、スピーカーエンクロージャー、ACアダプターエンクロージャー(45W/65W/100W)に採用するなど再生プラスチックの利用を拡大している。
※注1:ソニーセミコンダクタソリューションズの環境配慮型難燃再生プラスチック「SORPLAS」を採用している。
天板やキーボード面、ボトムカバーといった筐体部品への再生材料の採用に関しては、2021年からリサイクルマグネシウムやリサイクルアルミニウムといった再生金属の活用を進めている。また、再生金属だけでなく、再生プラスチックの採用にも取り組んでおり、「2023年発売の『ThinkPad L14 Gen 4 AMD』のボトムカバー、同じく『ThinkPad T14s Gen 4』の天板の周囲のフレーム部に、再生プラスチックを採用した他、キーキャップについても再生プラスチックの採用を順次拡大している」(天野氏)という。
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