2023年10月末から始まったプラスチックフリー梱包の採用については、スタンダードパッケージ、リテールパッケージともにプラスチックフリー化を推進(「ThinkPad Eシリーズ」を除く)。例えば、持ち手(ハンドル)部分を紙ベースの材料に変更したり、筐体を保護するパッケージを竹繊維が含まれる環境配慮材料に置き換えたり、セキュリティシールを紙製のものに変更したりするなど、徹底したプラスチックフリー化に取り組んでいる。
その他にも、電源コードのプラスチックキャップの廃止、紙製結束バンドの採用、マニュアルや証明書入れの紙封筒化、使用前に剥がされてしまうラベル類の廃止など、パッケージに含まれるあらゆる要素の見直しが図られている。
さらに、企業導入など向けに1つのパッケージに複数の同種製品を梱包するバルクパッケージによる環境配慮効果については、「『ThinkPad L14 Gen 4』をスタンダードパッケージで複数台輸送した場合とバルクパッケージでの輸送を比較したところ、梱包材廃棄量29%削減、保管スペース32%削減、パレット効率40%向上、荷解きにかかる時間と労力61%削減といった効果が得られることが分かった(※注2)」(天野氏)という。
※注2:同社試算によるもの。
2017年から開始した低温はんだプロセスの採用に関しては、製造時のエネルギーの節約、品質と信頼性向上、CO2排出量削減に貢献するとしている。
同社の低温はんだ技術は、材料やフラックス(はんだ付け促進剤)、温度プロファイルなどを調整および最適化することで、はんだ付けの際の温度を通常の250℃から180℃まで下げてはんだ付けを行う技術である。
「これまで6000万台以上のノートPC基板を低温はんだ技術を用いて生産してきた実績があり、2022年度までに1万1000t(トン)を超えるCO2排出量の削減に貢献してきた。また、温室効果ガスも35%ほど削減が見込め、品質と信頼性についても約50%の向上が期待できる」と天野氏は述べる。なお、同社の低温はんだ技術は現在無償ライセンスで公開(オープン化)されており、業界全体における環境負荷低減にも貢献している。
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