Helix Programでは、「日本でもうひとつ太陽をつくろう。」をコンセプトに、2030年代の前半にヘリカル型核融合の最終実験装置「Helix HARUKA」を完成させ実証を完了することや、2030年代の後半に50〜100MWを発電するヘリカル型核融合の初号機「Helix KANATA」の試運転と実用発電を行うことを計画している。
田口氏は「Helix HARUKAは、第1段階の建造が既にスタートしている。Helix KANATAは概念設計が完了しており、今後はシミュレーションや要素技術の成果をフィードバックし、より詳細な設計を進めていく」と語った。
ヘリカル型核融合炉の実用発電では、商用核融合炉の要件である「定常運転(1年を通して運転できる)」「正味発電(外部に電力を供給できる)」「保守性(運転後の機器交換が可能)」を満たす必要がある。
Helical Fusionが研究開発を進めるヘリカル型核融合炉は、ヘリカルコイルを使用することで、理論的に継続運転に限界がない。同社はヘリカル型核融合炉の要素技術であるLHDを使用し、48分間の連続運転を実証した実績もある。ヘリカルコイルは安定した磁場を創出し、制御のために高いエネルギーを追加する必要がない。そのため、高いエネルギー効率を実現する。これらの特徴により、商用核融合炉で必要な3要件を満たしている。発電所の発電量から、自家消費分や送電ロスなどを除いた、実際に利用可能な電力量である正味電力もトカマク型やレーザー型に比べて創出しやすいという。
田口氏は「Helix HARUKAの建設で必要な予算はおよそ400億円を見込んでいる。Helix HARUKAの建設には、数千億円〜1兆円規模の資金が必要だ。そのため、民間の投資だけでは対応が難しく、最終的には国の関与が必須だと考えている」と話す。また、スタートアップの投資フェーズの1つである「Series A」で23億円を得られ、資金調達の累計は53億円となった。
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