日揮ホールディングスは、インドネシアで廃プラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業を実現するために、油化プロセスの事業化検討に関する業務委託契約を丸紅インドネシアと締結した。
日揮ホールディングス(日揮HD)は2025年5月20日、インドネシアで廃プラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業を実現するために、油化プロセスの事業化検討に関する業務委託契約を丸紅の子会社である丸紅インドネシアと締結したと発表した。
日揮HDは、丸紅インドネシアがインドネシアで連携する現地スタートアップ企業のKhazanah Hijau Indonesiaが運営する廃棄物選別施設から、従来のリサイクル方法では処理が困難な複合プラスチックを抽出。これらのプラスチックに対して、日揮グループが保有する油化プロセスライセンス「Pyro-Blue」を活用し廃プラスチック油化ケミカルリサイクルの事業化を検討する。
Pyro-Blueは、旧札幌プラスチックリサイクル製の廃プラスチック油化装置をベースに、日揮グループが技術改良した油化プロセス。同プロセスは、塩化ビニール(PVC)とポリエチレンテレフタレート(PET)が混ざった廃プラスチックの処理が可能な他、残渣を適切に排出することで安全かつ連続的な運転を実現する。
今後は、今回の検討結果を2025年夏頃までにまとめ、これにより丸紅インドネシアが同年末頃をめどに事業性評価を行う予定だ。併せて、日揮HD 技術研究所(茨城県大洗町)のベンチ試験設備を用いて、対象となる使用済みプラスチックの油化実証試験を実施するかについても考える。
インドネシアでは、人口増加と都市化により廃プラスチックを含む廃棄物の発生量が増加している。多くの廃プラスチックはリサイクルされずに埋め立てによる最終処分もしくは不適切に処理されている。環境省によれば、プラスチックごみの海洋流出量は世界第2位だ。
このため、インドネシア政府は製造業(食品や消費材など)や飲食業、小売業を対象に「2029年までの減量、再使用、再利用を通じた30%の廃棄物削減」を義務付けるなど、廃プラスチック排出量の削減に向けた政策を推進している。
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