牧野フライスでは中国やインドなどのアジアの売り上げが全体の40%以上を占めている。米国の関税政策がアジアに与える影響については「今のところ、様子見というユーザーが多い。ただ、米国向けの依存度が大きいユーザーでは問題になっていると聞いている」(宮崎氏)。
中国では2025年に入り、インフラ関連の投資が動き始めた、新エネルギー車では最大手メーカーを中心とした引き合いが続いているという。
「建機や農機、油圧/空圧装置といったインフラ関連の部品加工で動きがある。また、新エネルギー車の最大手が強気の生産計画を推し進めており、それらの金型や部品加工で受注している。中国のPCやスマートフォンなどの製造設備の多くが10~15年経過しており、その更新需要が2025年は大きく動くだろうと見込んでいる。半導体製造装置関連も引き続き堅調に動く見通しだ」(宮崎氏)
牧野フライスに対してニデックがTOB(株主公開買い付け)を2025年4月4日から行っている。牧野フライスは、複数の第三者から完全子会社化に向けた初期的な意向表明書を受領したとしており、ニデックと一般株主で条件の異なる新株予約権を無償で割り当て、ニデックが保有する株式を希釈化する対抗措置も導入した。ただ、ニデックは対抗措置差し止めの仮処分命令を求める申し立てを東京地方裁判所に行った。
宮崎氏は「ユーザーや取引先、従業員のために独立性を担保していくことが、われわれの最大限の取り組みだ。その独立性を確保するためにできる限りのことをしている。より良い条件を出すために、支援を喜んでお受けしたいと考えているが、かなり難しい立ち位置にいると言わざるを得ない。長い戦いになるのではないか」と話す。
永野氏は「ホワイトナイトと一緒になった場合は、われわれの独立性が維持できる。現状で取引のある顧客とこれまで通りビジネスができることが、最大のメリットだ」と語る。
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