動摩擦トルク最大50%低減、日本精工が工作機械向けボールねじの受注開始工作機械

日本精工は、剛性を維持しながら、動摩擦トルクを最大50%低減した工作機械向けボールねじ「MT-Frix」の受注を開始した。ボールと溝の接触状態を解析し、内部仕様を最適化している。

» 2025年04月25日 13時00分 公開
[MONOist]

 日本精工(NSK)は2025年4月4日、動摩擦トルクと発熱を大幅に低減させた工作機械向けボールねじ「MT-Frix」の受注を開始したと発表した。

 MT-Frixは、ボールと溝の接触状態を解析し、内部仕様を最適化したボールねじだ。寸法はそのままに、剛性は従来と同水準を維持。動摩擦トルクを従来比で最大50%低減した。動摩擦トルクが減ったことで、駆動時の温度上昇値も最大40%減らしている。

キャプション 「MT-Frix」外観[クリックで拡大] 出所:NSK

 温度上昇が減ったことで、軸の伸び量を最大40%抑えられるようになった。位置決めを高精度に維持できるようになり、動摩擦トルクによるCO2排出量を最大50%削減できる。

 ボールねじは、工作機械の直線駆動部に搭載されていることから、加工工具やワークの位置決めに影響する。駆動時には動摩擦トルクによって発熱し、ねじ軸が熱膨張する。

 位置決め精度の低下を防ぐために強制冷却する場合もあるが、冷却には余計なエネルギーがかかってしまう。そのため、高精度化と省エネルギー化を両立するには、動摩擦トルクの低減が必要になっていた。しかし従来は、動摩擦トルクを低減すると剛性も低下してナットが変位しやすくなり、加工精度の低下を招くという課題があった。

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