日本精工(NSK)はこれまで提供してきた状態監視ソリューションを2024年10月より拡充する。同ソリューションは「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2024)」に出展する。
日本精工(NSK)は2024年10月9日、これまで提供してきた状態監視ソリューションを同月より拡充すると発表した。なお、同ソリューションは「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2024)」(2024年11月5〜10日、東京ビッグサイト)に出展する。
NSKでは2021年に英国のSpectris(スぺクトリクス)からBruel & Kjar Vibro(ブリュエル・ケアー・バイブロ)の状態監視システム事業を買収している。ブリュエル・ケアー・バイブロは30年以上にわたり風力発電所や石油化学工場向けに状態監視ソリューションを展開しており、のべ5万台以上が導入されてきた。
NSKは主に風力発電向けに培われてきたこれらの技術、ノウハウの他産業への展開を図っており、NSKの軸受を利用している鉄鋼や製紙、自動車などの一般産業機械においても状態監視ソリューションの導入が加速しているという。
2024年1月からは一般産業機械向けに、機械設備への設置が容易なワイヤレス状態監視システムとクラウドサービスを組み合わせた状態監視ソリューションを提供している。これは、エッジ処理機能を持ったワイヤレスの振動センサーや温度センサーを機械設備に付け、ゲートウェイを通じてデータをクラウドに送る仕組みだ。
そして同年10月から従来の有線タイプの状態監視システム(「VCM-3」を用いたシステム)にNSKのクラウドサービスとのデータ連携機能を追加する。一般産業機械においても、風力発電に用いられているような高度な状態監視システムを、クラウドを通じて利用できるようになる。
有線タイプは振動センサーをはじめとしたさまざまなセンサーを接続することができ、振動や回転速度、発電量、温度、圧力など他のデータを用いた複合的な診断を行うことができる。測定データの分析間隔も有線タイプは最小で秒単位となるため高密度な診断が可能だ。
より高度な状態監視を求めるユーザー向けに、高度診断AI(人工知能)とISO機械状態監視診断技術者で最上位のカテゴリーIVの資格を持つ6人をはじめとした診断エキスパートによる遠隔監視サービスを提供する。日本語、英語、ドイツ語に対応したUI(ユーザーインタフェース)で遠隔でも状態監視ができ、診断レポートも見られる。
2025年には、工作機械の回転機構と直動機構を組み合わせた複雑な加工プロセスに対応するためのトリガー機能を同システムに実装する予定だ。工作機械には回転機構と直動機構が組み込まれており、風力発電のような一方向の回転運動に限らない複雑な動きをする。その中でデータを取得するためにトリガー機能を追加し、工作機械の軸受や直動製品の診断を行う。治具やボールねじの組み付けなどの不良も監視できるという。
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