産業技術総合研究所は、効率的な新物質探索のため、3種類以内の元素の反応可能性をまとめた「元素反応性マップ」を公開した。3万以上の無機化合物の結晶構造データを基に、機械学習で有望な元素の組み合わせを提案している。
産業技術総合研究所は2025年4月15日、効率的な新物質探索のため、3種類以内の元素の反応可能性をまとめた「元素反応性マップ」を公開した。物質・材料研究機構、東京大学、東北大学、京都工芸繊維大学との共同研究により、3万以上の無機化合物の結晶構造データを基に、機械学習(ML)で有望な元素の組み合わせを提案している。
公開されたのは、80×80の格子状に表された80枚のマップだ。実験で取り扱う約80種類の元素について、第2元素と第3元素の組み合わせを格子状に配して、既知物質の有無と約3000種類の未知化合物の存在可能性を可視化した。
同マップの予測結果を検証したところ、0.95以上の高い反応性スコアの組み合わせでは、0.05未満の低スコア群の17倍となる確率で既存の化合物を発見。反応性スコアの有効性が示された。また、実験系データベースには未収録だが、高い反応性スコアを示した元素の組み合わせも3000組以上発見された。
例えば、第1元素をゲルマニウム(Ge)とした元素反応性マップでは、赤系の色と記号で既知化合物が存在する元素の組み合わせを表示。MLにより、化合物が存在しない元素の組み合わせを予測し、新物質発見の可能性が高いものほど濃い青で表した。
マップはインターネット上で公開しており、誰でもアクセスが可能だ。新物質生成の可能性が高い元素の組み合わせを迅速に特定でき、効率的な実験計画が可能になる。反応しにくい元素の組み合わせ予測にも活用可能で、不活性が求められる合成容器や電極などの材料探索への応用も見込まれる。
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