TE Connectivity Japanが年次独自調査報告書「インダストリアル・テクノロジー・インデックス(ITI) 2025」の概要を紹介。同社のAI(人工知能)や持続可能性に関する取り組みについても説明した。
TE Connectivity Japanは2025年4月3日、東京都内で会見を開き、年次独自調査報告書「インダストリアル・テクノロジー・インデックス(ITI) 2025」の概要を紹介するとともに、同社のAI(人工知能)や持続可能性(サステナビリティ)に関する取り組みについて説明した。
2023年からスタートしたITIは、世界のテクノロジー業界をけん引するイノベーションの現状を把握するために、TE Connectivityが第三者機関に委託して実施している独自調査報告書であり、今回で3年目を迎える。調査対象は、米国、インド、中国、ドイツ、日本の合計1000人のエンジニアとエグゼクティブとなっている。
大きなトピックとなったのが、報告書のタイトル「AIがもたらすイノベーションの時代」にも入っているAIである。ITI 2025では、世界の69%の企業がAI技術を「ある程度」導入しており、22%は既に「広範囲に」AIを活用しているという調査結果となった。このAI導入の状況で世界をけん引しているのが日本であり、「ある程度」が75%でトップ、「広範囲に」も31%で対象5か国の中でトップに立っている。AIをいつから使用し始めたかという設問について「3年以上前」が51%となり、中国の60%に次ぐ結果となった。
AI導入は進みつつあるもののその活用範囲は、データ分析、業務プロセスの簡素化、品質管理など基本的な業務に限定されている。ITI 2025では、業界固有の目的に合わせてAI技術をより深く活用することでイノベーションの可能性が広がるだろうと提言している。
ITI 2025では、AIトレーニングの必要性を指摘している。調査対象のエンジニアのうち80%がAIの活用を重視する企業で働きたいと回答しており、71%がAIトレーニングに関心を示している。また、64%がAIスキルアップによって仕事が奪われるとは考えておらず、61%がAIトレーニングのメリットを認識するなど、AIに対してポジティブな姿勢であるのに対し、調査対象の42%の企業が十分なAIトレーニングを実施できていないという現状が課題になっていることも分かった。
AI関連以外では、調査対象の企業に財務目標と持続可能性目標のどちらを優先しているのかを聞いたところ、2024年の調査と比べて財務目標を優先する企業が増えているという結果が出た。
TE Connectivity Japan 代表取締役社長/職務執行者 兼 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業本部 VP&GMの鶴山修司氏は、ITI 2025の調査結果について、「AIはさまざまなところで浸透しつつある一方で、活用の方向性はまだあいまいな状況でもある。企業が財務目標を優先する中で、AIをどう活用していくのかが問われていくだろう」と所感を述べる。
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