日立×住友化学、AIによる“省エネ生産計画”の自動化に向け実工場で検証開始製造ITニュース

日立製作所と住友化学は、AIを活用してエネルギー消費を最適化する生産計画自動立案システムの実用化に向けた検証を開始した。

» 2025年04月03日 11時00分 公開
[MONOist]

 日立製作所(以下、日立)と住友化学は2025年3月27日、AIを活用してエネルギー消費を最適化する生産計画自動立案システムの実用化に向けた検証を開始したと発表した。2025年3月から住友化学の千葉工場・袖ケ浦地区(千葉県袖ケ浦市)で検証し、脱炭素社会と製造現場の省人化を両立する「DX×GX」を目指す。

生産効率と省エネルギー化の両立を

 化学業界は、製品の多様性や生産規模の大きさから、大量のエネルギーを必要とする。住友化学の千葉工場では、合成樹脂などの生産において、生産計画部門とエネルギー管理部門の業務フローが分かれており、全体最適を考慮したエネルギー効率の良い計画立案が課題となっていた。また、生産計画の変更には熟練者のノウハウが必要で、属人化と業務負荷の高さが障壁となっていた。

 これに対し日立は、計画連携エンジン「TSPlanner(ティーエスプランナー)」を中核としたAIベースの自動立案システムを開発。同エンジンは、日立の「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」と「統合エネルギー・設備マネジメントサービス」を連携させたLumadaソリューションであり、生産とエネルギーの計画を統合的に最適化する。

 エネルギー使用量の変動や契約電力の制約を考慮しながら、生産とエネルギー双方の計画に対してAIが調整案を提示する。例えば、例えば、契約電力の上限を超過しないように全体の生産計画を最適化したり、化学反応器で発生する高温の廃熱を回収して蒸気を生成して他のプロセスに共有したりするなど、生産量の変動に追従しながらエネルギー消費量の低減を図る

photo システムのコンセプト[クリックで拡大] 出所:日立製作所

 住友化学の千葉工場・袖ケ浦地区での事前検証では、過去1年分の実績データを活用して試算したところ、人が立案した従来の計画と比べ、一定量のエネルギー消費削減効果が確認されたという。今後、実工場での検証を経て、住友化学の国内6工場への展開も視野に入れる。

 今回のシステムの導入は単なる生産計画最適化にとどまらず、工場全体のデジタル変革(DX)と環境負荷低減(GX)を進める起点とする方針だ。将来的には、需要予測や在庫管理、基幹システムとのデータ連携により、より迅速かつ柔軟な意思決定を可能としていく。また、自己託送の活用や再生可能エネルギーの最適運用などを通じて、電力需給の平準化、CO2排出量の削減、カーボンプライシングへの対応といった取り組みも強化していく。

(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー

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