USALは中長期的な市場拡大が見込まれる「半導体関連」と「環境分野」における分析/解析の機能、サービスを強化する。
大日本印刷(DNP)とUBEの共同出資会社であるUBE科学分析センター(USAL)は2025年3月24日、中長期的な市場拡大が見込まれる「半導体関連」と「環境分野」における分析/解析の機能、サービスを強化すると発表した。
USALはこれまでnmスケールの構造解析に力を入れてきた。一例を挙げると、燃料電池材料の微細構造がデバイスの性能に貢献することを明らかにした。
構造解析の経験を大規模集積回路(LSI)の微細化や複雑な3次元構造化の流れに応用するため、nmスケールでの観察に使用する断面試料作製(前処理)を高効率で行える装置を導入。USAL独自の分析/解析技術と新たな前処理技術を掛け合わせ、半導体デバイスの3次元構造の評価を行うことで、顧客の製品/技術開発の加速を支援する。
また、材料分析の豊富な経験を基に、半導体プロセスに使用するめっき液、フォトレジスト、研磨液、フィルムなどのさまざまな材料の分析に関して、ソリューション型のビジネスを展開。施設に関しても、DNPグループの情報セキュリティ関連のノウハウを導入し、メーカー各社がより安心して依頼できる体制に刷新する。
USALは、持続可能な社会の実現に向けた一環として、環境分野への分析サービスを強化。例えば、サーキュラーエコノミー実現のためのリサイクル素材や、カーボンニュートラルを後押しするカーボンリサイクルにおけるCO2分離回収領域で分析/評価を強化する。
さらなるリサイクル素材の活用に向け、品質のバラツキや性能の劣化に関して、分子レベルからミクロな構造まで総合的に分析/解析し、課題の解決策を提案。これによりリサイクル素材をより広い用途で、より使いやすくなるようにユーザーを支援する。
地球温暖化防止のため、大気中のCO2や工場などから排出されたCO2を分離回収し、地中に貯留する手法などが注目されている。USALは、CO2分離回収に用いる材料に対し、さまざまな環境での応用を想定した基礎評価を提供する。さらなる技術深耕や基礎評価のラインアップを拡充し、分離回収の素材、デバイス、プラント設計につながる物性データの提供を目指す。これらの知見/ノウハウを通じてUSALは、CO2分離回収における分析/解析のデファクトスタンダードを構築していく。
1987年に宇部興産(現:UBE)の研究開発部門から分析/評価グループが分離/独立して誕生した。有機、無機、各種材料の組成分析、構造解析、表面分析、形態観察、超微量分析、安全性評価などさまざまな分析、評価を自動車、エレクトロニクス、ライフサイエンスをはじめとする多様な業界で展開している。
DNPがUSALの発行株式66.625%を取得することで、USALは2024年4月からDNPとUBEの共同運営となった。2025年4月1日に社名をDNP科学分析センターに変更するが、出資比率は維持する。UBEグループで培った素材分析/評価技術とDNPグループの加工技術という両社の強みの連動をさらに深め、素材開発から加工/製品化まで幅広い領域での課題解決を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.