R.I.S.E. 2035ではタイヤ事業やスポーツ事業、産業事業の戦略、新規事業の構想も策定している。
タイヤ事業では、アクティブトレッドを搭載した新商品の投入とグローバル拠点におけるアロケーションを最適化することで、事業利益率を高める。2024年に7.3%、2027年に10%超、2030年に15%超を目指す。
同事業の商品戦略では、利益率が高いオールシーズンタイヤ、オールウェザータイヤ、超高性能スポーツタイヤ、SUV/ピックアップトラック向け大外径タイヤなどのプレミアム商品やアクティブトレッド技術を搭載したタイヤであるアクティブトレッドプレミアム商品に注力しつつ、収益確保に向けて選択と集中を推進する。
アクティブトレッドに関しては、2024年に開発した水スイッチをバージョン1.0とし、2027年にはバージョン1.5を、2028〜2030年にはバージョン2.0と、改良品を開発。2024年に開発した温度スイッチはバージョン1.0とし、2030〜2035年の間にバージョン2.0を開発する。
主要地域におけるタイヤ事業の商品展開について、国内では現状、DUNLOPブランドで市販用と新車用の製品を販売している。市販用ではさまざまなタイヤをラインアップしており、新車用では乗車用とSUV/ピックアップトラック用のタイヤを展開。将来は市販用でオールシーズンタイヤと高性能タイヤを中心に販売し、新車用では継続的に参入を目指す。「アクティブトレッドのスイッチを進化させ、オールシーズンタイヤや高性能タイヤに搭載し、将来は市販する」(山本氏)。
北米では現状、FALKEN(ファルケン)で市販用と新車用のタイヤを販売。市販用ではさまざまなタイヤをラインアップしており、新車用では乗用車用とSUV/ピックアップトラック用のタイヤを展開している。
ただ、住友ゴムは、The Goodyear Tire & Rubber Companyから、欧州、北米、オセアニアの地域における四輪タイヤ「DUNLOP(ダンロップ)」の商標権などを譲り受ける契約を、日本時間で2025年1月8日(米国時間で同月7日)に締結した。そのため将来は、市販用ではDUNLOPのオールウェザータイヤと高性能スポーツタイヤや、FALKENのSUV/ピックアップトラック用大外径タイヤとスポーツタイヤを販売する。新車用では新規参入を図る。「北米向けにカスタマイズしたアクティブトレッドを、オールウェザータイヤや高性能タイヤ、大外径タイヤに搭載し市販する」(山本氏)。
欧州では現状、FALKENで市販用としてさまざまなタイヤを販売しており、新車用では乗用車用タイヤを展開。将来はDUNLOPで市販用としてオールシーズンタイヤと高性能スポーツタイヤを販売し、新車用ではプレミアム車種で新規参入を図る。FALKENでは市販用としてスポーツタイヤを販売する。「欧州向けにカスタマイズしたアクティブトレッドを、オールシーズンタイヤや高性能タイヤに搭載し、市販する」(山本氏)。
住友ゴムはタイヤ事業でプレミアム商品を実現するための技術として、アクティブトレッド技術に加えて、設計技術「SDIプラットフォーム」、開発プロセス技術「SDIプロセス」の開発を進める。SDIプラットフォームは、タイヤの接地面の最大化や軽量化、均一化、共通化を実現する設計技術で、高性能化を後押しする。
SDIプロセスは、空力シミュレーションやノイズシミュレーション、AI(人工知能)で指定のタイヤの性能を予測し、開発の効率化を図るとともに試作/評価の数量を減らす開発プロセス技術だ。
これらの技術により、電気自動車(EV)や自動運転で重要な低電費、低ノイズ、高い耐久性能のタイヤの開発と、業務の効率化で低資源化と環境負荷の低減を実現する。具体的には、2027年に30%の転がり抵抗低減と20%の軽量化を達成し、2035年に40%の転がり抵抗削減と30%の軽量化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.