住友ゴムの長期経営戦略 路面にタイヤが適応し変化する次世代スイッチを開発製造マネジメントニュース(1/5 ページ)

住友ゴム工業は2025〜2035年を対象とした長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」を策定した。

» 2025年03月14日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 住友ゴム工業(以下、住友ゴム)は2025年3月7日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、2025〜2035年を対象とした長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」を策定したと発表した。R.I.S.Eという名称には、Rubber/Resilience/Reliable、Innovation、Solution、Evolutionの意味や、今後さらに成長していくという意思が込められている。

R.I.S.E. 2035のロードマップ

 R.I.S.E. 2035では、2035年に目指す姿として「ゴムから生み出す“新たな体験価値”をすべての人に提供し続ける」を掲げ、2025〜2027年、2028〜2030年、2031〜2035年の各期間で事業拡大イメージを設定している。

 2025〜2027年は「成長事業の仕込み」を行う期間として、DUNLOPブランドの強化などによりタイヤのプレミアム化を推進し、収益体質を改革する。2028〜2030年は「成長事業の挑戦」を実施する期間とし、成長事業において創出キャッシュの最大化と確固たるポジションの確立を行う。2031〜2035年は「成長事業の拡大を通じたポートフォリオ変革」を実施する期間としイノベーティブな商品/サービスを継続的に創出し、持続可能な事業体質を実現させる。

長期経営戦略のロードマップ 長期経営戦略のロードマップ[クリックで拡大] 出所:住友ゴム

 同社は2035年に向けた事業ポートフォリオの変革で「タイヤのプレミアム化推進」と「新たな収益の柱の構築」を行う。「タイヤのプレミアム化推進」では、2030年にタイヤ販売本数におけるプレミアムタイヤの比率を60%超とするとともに、さまざまな道に対応するタイヤ用ゴム材料「アクティブトレッド」を搭載したタイヤ「アクティブトレッドプレミアム商品」で事業利益額の10%以上を目指す。

 2024年時点でタイヤ販売本数におけるプレミアムタイヤの比率は40%で、2027年には50%とする考えだ。「新たな収益の柱の構築」では2035年にタイヤ以外の事業/成長事業において事業利益率の構成比で30%を目指す。

目指す事業構成の変革 タイヤ事業におけるプレミアム商品比率の推移[クリックで拡大] 出所:住友ゴム
目指す事業構成の変革 目指す事業構成の変革[クリックで拡大] 出所:住友ゴム

 R.I.S.E. 2035の目指す姿で掲げられている「ゴムから生み出す“新たな体験価値”」を顧客に提供するために、同社ではこれまで通り、ゴムを起点とした価値創造プロセスで高機能商品を作り出す力「ゴム・解析技術力」と顧客に喜びを感じてもらえる複数ブランドの立ち上げ/育成力「ブランド創造力」を組み合わせる。

住友ゴム独自の強み 住友ゴム独自の強み[クリックで拡大] 出所:住友ゴム

成長促進ドライバーについて

 R.I.S.E. 2035では、2025〜2035年における成長促進ドライバーとして「ゴム起点のイノベーション創出」「ブランド経営強化」「変化に強い経営基盤構築」を挙げている。

ゴム起点のイノベーション創出

 「ゴム起点のイノベーション創出」では「可視化技術の強化」と「アクティブトレッド技術の進化」を行う。

 住友ゴムの製品における価値創造プロセスは、顧客の問題/ニーズを捕捉する力、ゴムの設計力、可視化技術、分析力、解析力、商品設計/製造力が生かされている。可視化技術とはゴムの構造や状態を見える化する技術を指す。「可視化技術の強化」では、人材の育成や強化、外部連携の推進により、ゴムの構造や状態を見える化する技術の開発を進める。これにより、新たな体験価値を生み出す高機能ゴムを開発する。

 具体的には、先端のテクノロジーを用いて可視化技術の研究を高度化する他、量子コンピュータの活用で研究施設の機能を高める。社内における博士の育成や最先端研究施設の活用促進で研究人材の育成と強化も推進。大学との連携や他社との協業も進める。可視化技術の開発に貢献するスタートアップのM&Aも行う。

「ゴム起点のイノベーション創出」で可視化技術を強化 「ゴム起点のイノベーション創出」で可視化技術を強化[クリックで拡大] 出所:住友ゴム
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