国内では、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指し再生可能エネルギーが普及するとみられている。その中で、再生可能エネルギーを蓄電できる蓄電池システムも同様に導入が拡大するとされている。
ただ、蓄電池システムは充電と放電を繰り返すことでSOHが低下する。一例を挙げると、1日当たり1回の充放電を行うことで10年後には満充電しても、初期容量の80%しか充電できなくなる蓄電池システムがある。
蓄電池システムの設置先や用途はさまざまで、これらにより劣化の推移が異なる他、一般的に長期間利用するため、劣化推移の違いが使用方法や収益に影響を与える。
こういった状況を踏まえて、パナソニックHDは蓄電地劣化予測技術を開発した。同技術は、まず蓄電池の充放電で得られたデータを機械学習モデルに学習させる。次にこの機械学習モデルと数理モデルを組み合わせ、蓄電池の劣化を予測する。
北野氏は「機械学習モデルのみだと充放電のデータから蓄電池の種類しか予測できない。機械学習モデルと数理モデルを組み合わせることで、使用したことがない蓄電池でも充放電のデータから劣化を予測できる。現状あるいは実施予定の用途に合わせて蓄電池の劣化を予測する他、いくつかの主要な使用パターンにおける劣化を予想し、蓄電池の劣化を抑える運用方法を提案可能だ」と話す。
一方、あいおいニッセイ同和損害保険の保険商品は故障データを基に将来リスクを推定するが、故障データがない場合は保険の提供が難しく、保険料の水準も高くなる傾向がある。そのため、パナソニックHDの劣化予測技術を活用すれば、故障データがなくとも将来のリスクを推定でき、蓄電池ごとの状態を反映した保険料の水準を提示できる商品開発が期待できる。
なお、同社はこれまでも蓄電池容量の保証を支える保険を提供し、電気自動車(EV)を中心としたリユース蓄電池の普及や周辺領域のサポートに挑戦してきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.