パナソニック ホールディングスとあいおいニッセイ同和損害保険は、蓄電池劣化予測技術を活用した定置用蓄電池システム向けの保険商品開発に関する協定を2025年2月7日に締結した。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)とあいおいニッセイ同和損害保険は2025年2月7日、オンラインで記者会見を開き、蓄電池劣化予測技術を活用した定置用蓄電池システム(業務産業用併設、系統/再生可能エネルギー併設など)向けの保険商品開発に関する協定を同日に締結したと発表した。
従来の定置用蓄電池システム向けの保険商品は、対象となるシステムの長期にわたる十分な故障データがなければ加入できなかった。今回の協定締結により、あいおいニッセイ同和損害保険は、パナソニックHDが開発した蓄電池劣化予測技術を活用することで、故障データを必要とせず、保険商品を開発/提供可能な体制の構築を目指す。両社は電池に関する豊富な知見/ノウハウを掛け合わせることで、蓄電池の普及を支援する保険商品の開発/提供を行っていく考えだ。
パナソニックHD 技術部門 GX本部 エネルギー事業開発室 DERMS 事業戦略課 主務の北野谷征氏は「両社が実現したいサービスは、蓄電池の寿命や保証に関して頭を抱える顧客に対して、長期間を対象とした蓄電池劣化技術や保証を提供することで、悩みを解消し蓄電池の導入につなげる」とコメントした。
開発を予定している保険商品について一例を挙げると、蓄電地劣化予測技術で示された推奨使用方法通りに使用したにもかかわらず、予定の期間内に見込みの最大容量(SOH)を維持できなかった場合に、そのSOH数値まで復旧するために要する費用損害を補償する保険がある。この保険商品の契約者は蓄電池システムメーカーあるいは蓄電池販売事業者を想定している。保証期間は判定結果により異なる。
あいおいニッセイ同和損害保険 新種保険部 瑕疵費用・保証信用グループ 課長補佐の齋藤士郎氏は「現在、メーカーが用意している蓄電地システムの保証期間は短いケースが多く、ユーザーが十分な保証でないと感じることも少なくない。そこで今回の取り組みにより、あいおいニッセイ同和損保が蓄電池のメーカー保証の裏請けを担えるようになることで、蓄電地システムの長期間保証サービスを実現することを検討している。これにより、メーカーは蓄電地システムの保証サービスを充実でき、ユーザーは長期間の保証サービスを受けられるようになる」と語った。
両社の役割に関して、パナソニックHDは長年にわたる蓄電池の技術開発で培ってきた知見や技術ノウハウを活用し、定置用蓄電池システム向けの劣化予測技術の検討を担う。あいおいニッセイ同和損害保険は蓄電池に関連するこれまでの保険引受ノウハウを基に、定置用蓄電池システムが抱えるリスク軽減を追求し、蓄電池全般の普及を支援する保険商品開発を目指す。
今回の協定締結に合わせて両社は、系統蓄電池/太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに蓄電池システムを設置している事業者、ビルや工場などの施設に蓄電池システムを設置している企業、蓄電池システムメーカーなどの実証パートナーを幅広く募っている。家庭用の蓄電地システムは対象外となる。この実証では、設置されている蓄電池システムの劣化予測結果を無償で提供し、電池の劣化を抑制するような運用方法などを提案する。具体的には、実証パートナーに表形式あるいはグラフ形式で蓄電池の劣化予測結果のレポートを提供。実際の使用環境以外のケースでも蓄電池の劣化予測結果を共有する。
両社はこの実証により蓄電池劣化予測技術で使用している機械学習モデルに多くの蓄電池システムデータを学習させ、同技術の予測精度を高める。実証に必要な蓄電地システムの情報は、蓄電地システムメーカー名、セルメーカー名、電流値、電圧値、温度、充電率(SOC)、SOHとなる。募集期間は2025年2月7日~2027年2月末日で、実証期間は2025年4月~2028年4月だ。なお、申し込みは特設Webサイトから行える。
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