ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントの売上高は同6%減の7738億円で、コア営業損益は121億円の損失となった。炭素事業を中心に在庫評価損益が悪化したものの、ポリオレフィンなどにおいて原料と製品の価格差が拡大したことなどによりコア営業損益は改善した。同セグメントは、マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントと炭素サブセグメントで構成される。
マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントでは、高純度テレフタル酸事業における特定子会社の株式譲渡の影響などがあったが、為替影響や原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇などにより、売上高は前期並みとなった。木田氏は「茨城県神栖市の茨城事業所にあるエチレンセンターの定修実施年度にもかかわらず、このサブセグメントは前年同期と比べて大きく改善した」と話す。
炭素サブセグメントでは、コークス事業における特定子会社の株式譲渡の影響や需要低迷に伴う販売数量の減少、原料価格の下落などに伴うコークスの販売価格の下落により、売上高は減少した。
ケミカルズ事業の売上高は同2%増の2兆166億円で、コア営業利益は同820%増の552億円となった。ケミカルズ事業はファーマセグメントと産業ガスセグメントから成る。
ファーマセグメントの売上高は同3%増の3491億円で、コア営業利益は同2%減の545億円となった。同セグメントは、国内医療用医薬品で薬価改定の影響などを受けた。しかし、米国で発売した筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「RADICAVA ORS」の伸長や為替影響、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン「ゴービック水性懸濁注シリンジ」の順調な立ち上がりにより、売上高は増加した。コア営業利益は、国内や米国における販管費などの増加により、減益となった。
産業ガスセグメントの売上高は同5%増の9658億円で、コア営業利益は同12%増の1375億円だった。国内の事業再編による影響はあったが、各地域で推進する価格マネジメントや為替影響などにより、売上高は増加した。コア営業利益は、売上収益の増加に加え、コスト削減の影響などにより増えた。
その他のセグメントの売上高は同6%減の1211億円で、コア営業利益は前年の赤字から3億円に黒字転換した。
2025年3月期の業績予想に関して、第3四半期までのコア営業利益は、2024年11月1日公表済みの通期予想に対し85%と順調な進捗となった。一方、第4四半期(2025年1〜3月)は、スペシャリティマテリアルズセグメントとファーマセグメントにおける季節要因に加え、MMAモノマーの売買差悪化などが見込まれることから、通期予想は2900億円を据え置く。
また、「新中期経営計画 2029」における基本方針「事業選別の3つの基準」と「規律ある事業運営の3原則」に基づき、ポートフォリオ改革と収益改善に向けた取り組みを進めていく。
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