三菱ケミカルグループは、2025年3月期第1四半期の売上高は前年同期比6.4%増の1兆1294億円で、営業利益は同21.9%増の153億円になったと発表。また、赤字が続く炭素事業で生産規模縮小を決定した。
三菱ケミカルグループは2024年8月1日、オンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年度)第1四半期(4〜6月期)の決算を発表した。
同期の売上高は前年同期比6.4%増の1兆1294億円で、営業利益は同21.9%増の153億円となり、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出したコア営業利益は同62.6%増の826億円となった。
同社 最高財務責任者(CEO)の木田稔氏は「各事業において価格マネジメントを推進したことや、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーの市況が上昇したことにより、前年同期に比べ売買差が大きく改善した他、同期もコスト削減効果を積み上げた。一方で、炭素事業は赤字水準が続き、スペシャリティマテリアルズと産業ガスは販売数量が悪化した」と語った。
第1四半期の事業環境は、地域や業種により需要動向に濃淡はあるものの、安定的に推移した。ディスプレイ関連は中国の大型商戦や国際スポーツイベントの需要に伴い好調に推移し、半導体関連は生成AI(人工知能)関連需要のけん引により回復基調にある一方で、自動車や食品関連市場などの一部地域/分野では軟調さがみられた
セグメント別では、アドバンストフィルムズ&ポリマーズサブセグメントやアドバンストソリューションズサブセグメント、アドバンストコンポジット&シェイプスサブセグメントで構成されるスペシャリティマテリアルズセグメントの売上高は同5%増の2769億円で、コア営業利益は同16%増の115億円となった。「具体的に売上に貢献した製品は偏光板などに利用する光学用ポリビニルアルコールフィルム『OPLフィルム』とディスプレイで活用するポリエステルフィルムだ。半導体レジスト用のポリマーも好調だった」(木田氏)。
アドバンストフィルムズ&ポリマーズサブセグメントでは、バリア包材用途などの需要が減退したことで販売数量の減少があったが、為替影響やディスプレイ用途などの需要が緩やかに回復したことで、売上高は増えた。
アドバンストソリューションズサブセグメントでは、為替影響やディスプレイ、半導体関連用途の需要が緩やかに回復したことで販売数量の増加などがあったが、一部事業で原料価格の下落に伴い販売価格が低下したことなどにより、売上高は減少した。
アドバンストコンポジット&シェイプスサブセグメントでは、為替影響やシーピーシーの完全子会社化の影響と高機能エンジニアリングプラスチックの需要が回復したことによる販売数量の増加で売上高は増えた。
産業ガスセグメントの売上高は同7%増の3275億円で、コア営業利益は同18%増の474億円となった。同セグメントでは、国内の事業再編による影響はあったが、各地域で推進する価格マネジメントや為替影響などにより、売上高は増加した。コア営業利益は売上高の増加とコスト削減の影響などで増えた。
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