三菱ケミカルグループは、2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月期)の決算で、売上高は前年同期比4%減の1兆612億円となるも、営業利益は同3%増の697億円になったことを発表した。
三菱ケミカルグループは2023年8月2日、2024年3月期第1四半期(2023年4〜6月期)の決算について発表した。
2024年3月期第1四半期の売上高は前年同期比4%減の1兆612億円となるも、営業利益は同3%増の697億円となった。営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除外したコア営業利益は同30%減の508億円を記録した。
2024年3月期第1四半期は、全般に厳しい事業環境が続き、特に石油化学関連や半導体関連市場で需要が低迷した他、原料となるナフサ価格の下落影響もあり、売上高は減少した。さらに、販売数量の減少と在庫評価損の影響を製品価格の改定とコスト対策で軽減させたが、石化/炭素の需要低迷と在庫評価損が主要因となり、コア営業利益が減少した。
セグメント別では、スペシャルマテリアルズ事業の売上高は前年同期比8%減の2909億円で、コア営業利益が同59%減の92億円となった。大幅に減少したコア営業利益について、半導体関連市場や欧米の需要落ち込みの中で価格のマネジメントを行い売買差で104億円の利益を得たが、自動車やディスプレイ市場の需要が好調だった前年同期と比べ、ディスプレイ、自動車材、産業材の全般で販売数量が大きく減り216億円減少し、大きな減益となった。
ポリマーズ&コンパウンズは、販売価格の是正を推し進めたものの、三菱エンジニアリングプラスチックスの一部株式の譲渡影響に加え、エレクトロニクス用途などの需要が減退したことなどで、売上高は減少した。三菱ケミカルグループ 執行役 エグゼクティブバイスプレジデント 最高財務責任者の中平優子氏は「ポリマーズ&コンパウンズでは、食品包材市場の回復や米国での建材用途の需要が想定以下だったことも売上高の減少に影響を与えた」と語った。
フィルムズ&モールディングマテリアルズでも、販売価格の是正を推し進めたものの、エレクトロニクス用途をはじめとして、総じて需要が減退したことなどで販売数量が減少し減益となった。「スペシャルマテリアルズ事業のうち販売数量が最も低下したのがフィルムズ&モールディングマテリアルズだ。欧米でラベル用ポリエステルフィルムと半導体プロセス材の需要が減少していることが要因となった」(中平氏)。
アドバンストソリューションズでも、販売価格の是正を推し進めたものの、半導体関連事業を中心に販売数量が減少したことにより、売上高は減った。
産業ガス事業の売上高は前年同期比12%増の3068億円で、コア営業利益は同35%増の398億円となった。産業ガス事業は価格マネジメントと生産性向上などにより好調に推移した。ヘルスケア事業の売上高は同4%増の1019億円で、コア営業利益は同150%増の100億円。ヘルスケア事業はALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬「RADICAVA(ラジカヴァ)」の北米での販売伸長やコスト対策の他、連結子会社である北米のメディカゴの事業撤退と拠点の統廃合に伴う研究開発費などの減少により増益を達成した。
中平氏は「引き続き、欧米を中心に価格マネジメントによる売買差の改善を行うとともに、日本、アジア、オセアニアで燃料価格上昇分の価格転嫁を推進する」と話す。
MMA(メタクリル酸メチル)事業の売上高は同21%減の690億円で、コア営業利益は9億円の赤字となった。MMA事業は前年同期比では減益となったが、市況の減速が落ち着き2023年3月期第4四半期より良化した。
ベーシックマテリアルズ事業の売上高は前年同期比10%減の2427億円で、コア営業利益は80億円の赤字となった。コア営業利益は、ポリオレフィンなどで原料と製品の価格差が拡大しただけでなく、原料価格の下落に伴い在庫評価損が生じ、需要の減退などによる販売数量の減少も起き、大幅な減益となった。
石化では、エチレンセンターの定期修理の影響が縮小したものの、需要の減退などにより販売数量が減少しただけでなく、原料価格の下落などに伴い販売価格が下落したことで、売上高が減少した。炭素では、需要の減退により販売数量が減少したことに加え、原料価格の下落などに伴いコークスの販売価格が下落したことで、売上高が減った。
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