大同特殊鋼は、知多第2工場(愛知県知多市)で特殊溶解設備である真空アーク再溶解炉(VAR)の増設を進めていると発表した。
大同特殊鋼は2024年12月23日、今後の需要拡大が見込まれる半導体製造装置や航空エンジンなどに使われるクリーンステンレス、ニッケル基合金などの高級鋼を増産するため、知多第2工場(愛知県知多市)で特殊溶解設備である真空アーク再溶解炉(VAR)の増設を進めていると発表した。
クリーンステンレスは、SUS316の化学成分規格内でありながら、真空誘導溶解と真空アーク再溶解を施すことで清浄度化を実現したもので、清浄性が求められる半導体製造装置や医療関連設備などに主に使用される。
ニッケル基合金はニッケルを主成分とする合金で、高い耐熱性や耐食性を有する。主に石油、化学、ジェットエンジンや発電用タービンなどの分野で使用される。
VARは、一次溶解(電気炉/真空誘導炉)で溶解/造塊した鋼塊を消耗電極として通電し、高真空下でアーク発熱により溶融して、鋼中のガス成分を低減しながら消耗電極内の介在物を浮上促進させ除去する。加えて、急速冷却により均質な組織を得られる。
同社は、1基目の設置を完了しており、2024年12月19日に稼働を開始した。2基目は2025年3月までの稼働開始を予定しており、2基の増設によりこれまでと比べて高級鋼の生産能力が20%増になると見込んでいる。
今後は、2027年3月までに高級鋼用の2基のVARとチタン用の2基のVARを知多第2工場に追加する予定だ。
VARで生産した鋼は、内部の清浄度や均質性が高められるため、特性の厳格な管理が可能だ。そのため、航空エンジンや半導体製造装置といった品質要求が厳しい部材に適用できる。これらの利点により今後ますます需要が高まると予想されている。
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