ポータブル型であるF50MEは、このサーモグラフィー検査を、検査室だけでなく診察室や病室、訪問診療など場所を選ばず行えることが最大の特徴になる。システムとしては、小型カメラ(110g)と、検査画面の表示や制御装置の役割を果たすタブレット端末(1200g)から構成されている。軽量の小型カメラはフォーカスフリーであり、フリーアングルでのサーモグラフィー撮影が可能である。タブレット端末からのバッテリー駆動によりAC電源のない場所で利用できるので、持ち運んで運用できる。
表示画素数は240×240の5万7600画素で、温度分解能は0.06℃以下。測定温度範囲は0〜50℃。測定視野角は37.5×37.5+3.5度、測定距離範囲は40〜270cm。バッテリー駆動時間は4時間となっている、
なお、サーモグラフィー検査のデータの取り扱いはタブレット端末に組み込んだSDカードを用いることになる。今後の開発でネットワーク対応などを進めていく方針である。
会見では、兵庫医科大学 名誉教授の小柴賢洋氏が臨床検査医学の観点から、と倉繁皮ふ科医院 院長の倉繁祐太氏が診療で実際にサーモグラフィーを用いている皮膚科医の観点から、F50MEの発売に期待するビデオコメントを寄せた。両氏とも、小型で持ち運びができることにより、さまざまな場面で利用できる点を高く評価している。
実際に、医用サーモグラフィーに需要がないわけではない。厚生労働省が発表している統計でも、2023年度の1年間で数千件のサーモグラフィー検査が行われていることが報告されている。これらは、かつて日本アビオニクスが販売していた設置型の医用サーモグラフィーと同様のシステムを用いて行われているとみられる。
同社は、医用サーモグラフィーとしてF50MEを再び市場投入することにより、潜在的な需要を拡大させていきたい考え。皮ふ科をはじめ形成外科、整形外科、内科などに提案していく方針であり、新たに全国の医療系販売店と契約して展開を広げていく方針だ。また、操作性の改善や解析/診断を行うソフトウェアの開発、AI画像検査機能などの追加も計画している。
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