住友ゴムがCESでセンシングコアをアピール、タイヤ関連の故障予知で事故を防止CES 2025

住友ゴム工業は、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」に先立ちプレスカンファレンスを行い、独自のタイヤセンシング技術「SENSING CORE」が自動運転社会にもたらす価値について紹介した。

» 2025年01月07日 05時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 住友ゴム工業は2025年1月6日(現地時間)、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」(2025年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)に先立ちプレスカンファレンスを行い、独自のタイヤセンシング技術「SENSING CORE(センシングコア)」が自動運転社会にもたらす価値について紹介した。

タイヤ開発の知見を生かし走行の問題を把握

 住友ゴム工業は2017年の東京モータショーで「SMART TYRE CONCEPT」を発表。「センシングコア」「アクティブトレッド」「性能持続技術」「エアレスタイヤ」「LCA」という5つの方向性で技術開発を推進してきた。その中で、センシングコアは、AIを活用した車両故障予知ソリューションを展開するベンチャー企業であるViaductとの協業も含めて早期の事業化に取り組んできた。

 センシングコアは、住友ゴム工業がタイヤ開発で培ったタイヤの動的挙動に関する知見と、タイヤの回転により発生する車輪速信号を解析するデジタルフィルタリング技術を融合させることで、タイヤの空気圧、摩耗状態、荷重や滑りやすさをはじめとする路面状態を検知するセンシング技術だ。ソフトウェアのみの技術で構成され、新たにセンサーをつける必要はない。ECUなどを通じて得た走行情報を活用してタイヤ周辺の情報を正確に把握可能としている。

photo 米国住友ゴム工業の先進テクノロジー分野のバイスプレジデントであるデイビッド・ヨハンソン氏

 米国住友ゴム工業の先進テクノロジー分野のバイスプレジデントであるDavid Johansen(デイビッド・ヨハンソン)氏は「長年タイヤを開発してきた知見を生かし、タイヤから得られる情報を用いて走行状況などを把握することができる」と強みについて述べる。実際にセンシングコアの実現には、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)などを含むDWS(Deflaction Warning System)ビジネスでの実績などが活用されているという。

 センシングコアの価値として、住友ゴム工業では5つのポイントを挙げる。1つ目が、TPMSなどと同様、タイヤの空気圧の監視だ。タイヤ空気圧の変化を捉え、アラートなどを発信できる。2つ目が、タイヤの負荷分布を推定し、事故を予測することだ。3つ目が、タイヤの摩耗状態を認識し、ドライバーにフィードバックするというものだ。4つ目が、車輪の脱落を予測し重大事故を防ぐ。そして5つ目が、道路状況を評価し、クルマの操作やルート設定を調整するというものとなる。

 ヨハンソン氏は「センシングコアはメンテナンスフリーでどんなクルマでも適用可能だ。ソフトウェアで構成されているため、自動でアップデートできる利点もある」とさらなる価値についても訴える。

photo センシングコアの価値[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業

Viaductとの協業で総合故障予知サービスを展開

 さらに、これらのタイヤ情報を基にトータル故障予知サービスの開発をViaductと進めている。住友ゴム工業とViaductは2023年8月に共同実証を開始後、2024年1月には出資も行っており、協業を加速させている。

photo Viaduct CEOのデイビッド・ハッラーク氏

 ViaductのCEOであるDavid Hallac(デイビッド・ハッラーク)氏は「われわれはAIが産業を変えると考えてさまざまな技術開発に取り組んできた。その中で独自のAIエンジンであるTSIエンジンを活用し、車両部品の故障予知を行うサービスを展開している。センシングコアによるタイヤ情報を組み合わせることで、クルマのメンテナンスコストを1台当たり2500米ドル下げることができると考えている」と訴えている。

 自動車の自動運転化が進む中で、カメラなどから見えるデータの活用が進む一方、見えないデータソースの活用が重要視され、センシングコアが担うタイヤからのデータはその中でも重要なデータソースの1つだ。今後住友ゴム工業では、さらに、モジュールやセンサー、UIなどのサプライヤーとのパートナーシップを進め、センシングコア事業の価値創出に取り組んでいくとしている。

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(取材協力:パナソニック コネクト)

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