日本アビオニクスは、患者の患部の温度分布を瞬時に可視化するポータブル型医用サーモグラフィー「F50ME」を開発した。バッテリーで駆動するポータブル型の医用サーモグラフィーとしては「国内唯一」(同社)とする。
日本アビオニクスは2024年12月5日、東京都内で会見を開き、患者の患部の温度分布を瞬時に可視化するポータブル型医用サーモグラフィー「F50ME」を開発したと発表した。バッテリーで駆動するポータブル型の医用サーモグラフィーとしては「国内唯一」(同社)とする。発売は2025年1月末の予定で、価格(税込み)は275万円、2025年の年間販売計画は300台となっている。
同社 代表取締役社長の竹内正人氏は「コロナ禍で当社のサーモグラフィーが広く採用される中、このサーモグラフィーによって社会課題を解決に貢献できるように2021年にヘルスケア事業推進室を設置した。今回、医療機器認定を受けた医用サーモグラフィーの製品発表ができることには万感の思いがある」と語る。
日本アビオニクスはかつて医用サーモグラフィーを事業展開していたが、浸透が進まず十数年前に撤退した過去がある。「当時の製品は大型の設置タイプで、価格も約1000万円と高価だった。しかし今回のF50MEでは、技術進化によって小型化と低価格化を実現できた」(竹内氏)という。
医用サーモグラフィーを用いた「サーモグラフィー検査」の診療報酬の点数は200点で、氷などを使って負荷を与えてから検査を行う負荷検査を行う場合には100点が加算される。竹内氏は「F50MEは、ポータブル型となったことで医療や看護のさまざまな場面で利用できる上に、価格がこの診療報酬の点数に見合うものになったことで医療機関に広く受け入れやすい製品になったと考えている」と強調する。
F50MEは、管理医療機器でクラスIIの認証を取得した医療用の赤外線サーモグラフィー装置である。サーモグラフィー検査では、患者に負担を掛けずに、非接触/非侵襲で対象部位の温度分布を表示することができる。患部の状態を分かりやすく可視化する検査なので、患者へのインフォームドコンセントなどにも活用できるメリットがある。
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