Qt 6.8ではこの他にもさまざまな機能が追加されている。組み込み機器関連では、RISC-Vプロセッサへの対応が挙げられるだろう。中国StarFive TechnologyのRISC-Vプロセッサを搭載するシングルボードコンピュータ「VisionFive 2」が対応プラットフォームに加わった。この他、Arm系プロセッサでは「Raspberry Pi 5」「NVIDIA AGX Orin」などが追加されている。
PCアプリケーション関連では、Arm版Windowsへの完全対応を実現した。PCのAI機能の拡充が差異化ポイントとなる中でArm版Windowsは徐々に存在感を増しているが、今回のQt 6.8での完全対応はArm版Windows向けのアプリケーション開発を加速させる可能性がある。
「Apple Vision Pro」の登場もあり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といったXRヘッドセットの市場拡大に期待が集まっている。Qt 6.8では、これらXRヘッドセットに対応するため新たに「Qt Quick 3D XRモジュール」を導入した。XRヘッドセットのUI開発に活用できるだけでなく、既存のUI開発に用いている「Qt Quick 3D」で構築した環境とシームレスに連携できる仕組みを用意している。
QtのUI開発では、統合開発環境である「Qt Creator」を用いてコーディングを行うのが一般的だ。近年、AI(人工知能)でコーディングを効率化する機能の提供が進んでおり、Qtでも開発を進めている。コード補完などを行うAIアシスタント機能、コーディング内容の説明やアドバイスを行う機能、生成AIを用いてテストケースを自動生成する機能などがテクノロジープレビューになっており、AIアシスタント機能は2025年第1四半期に正式リリースされる予定だ。
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