Qt GroupがUI開発フレームワーク「Qt」の最新バージョン「Qt 6.8」を発表。今回のバージョンアップのハイライトについて、来日した同社 製品担当シニアバイスプレジデントのユハペッカ・ニエミ氏に聞いた。
Qt Groupは2024年10月8日、UI(ユーザーインタフェース)開発フレームワーク「Qt」の最新バージョンとなる「Qt 6.8」を発表した。今回のバージョンアップのハイライトについて、来日した同社 製品担当シニアバイスプレジデントのユハペッカ・ニエミ(Juhapekka Niemi)氏に聞いた。
Qtは、PCやスマートフォンのアプリケーションをはじめ、ディスプレイを搭載するさまざまな組み込み機器のHMI(Human Machine Interface)開発で広く採用されている。近年はこれらのデバイスを横断する形で同じUX(ユーザー体験)を提供することが重視されているが、QtはクロスプラットフォームでHMIを各デバイスに横展開してソフトウェア開発サイクルを効率化できることを特徴としている。
日本市場におけるQtのユーザーは、車載向けをはじめ組み込み機器分野が多いと言われている。PCやスマートフォンのアプリケーションと比べて組み込み機器は長期サポートが求められることもあり、日本市場のQtユーザーも長期サポート版である「LTS」に対応するバージョンを利用していることが多い。
Qt 6.8は最新のLTSバージョンとなる。そしてこのQt 6.8から、商用ライセンス版のLTSのサポート期間を従来の3年から5年に延長することを決めた。ニエミ氏は「Qt 6の世代でLTSに対応するバージョンとしてはQt 6.2やQt 6.5を提供してきたが、サポート期間は3年だった。Qt 6.8以降のLTSは全てサポート期間が5年間に延長される。欧州のEUサイバーレジリエンス法など各国でセキュリティ規制が強化されているが、今回のLTSのサポート期間延長によってQtのユーザーはセキュリティ規制に対応した製品開発の計画を立てやすくなるだろう」と説明する。
また、組み込み機器の開発ではソフトウェアの安定動作が優先されることが多く、Qtのバージョンを維持するユーザーも多い。実際に、Qt 5シリーズで最後のリリースとなるQt 5.15 LTSは現在も利用されている。「これらのユーザーも支援するべく、2025年第2四半期からQt 5.15の延長サポートを提供する予定だ」(ニエミ氏)という。
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