パナソニック流デザイン経営の3年間の歩みと現在地デザインの力(2/2 ページ)

» 2024年11月22日 06時00分 公開
[八木沢篤MONOist]
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各所で変化の兆しが 10以上の自走プロジェクトも進行中

 臼井氏がデザイン経営実践プロジェクトの成果として挙げるのが、パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部の変革だ。これまで“冷蔵庫を作ること”が目的化していたため、前年製品との差分設計/差分開発/差分商品企画が課題となっていたキッチン空間事業部だが、未来構想を起点とした意識改革により、実現したい未来が明確化され、言語化できるようになり、実際に未来構想に基づいた新コンセプトの商品などが生まれ始めている。「事業の目的も、冷蔵庫を作る事業から、食の創造性探求やフードロス削減を目指す事業へと変化の兆しが見え始めている」(臼井氏)。

パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部での成果(1) パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部での成果(1)[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス
パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部での成果(2)パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部での成果(3) パナソニック くらしアプライアンス社 キッチン空間事業部での成果(2)(3)[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

 また、技術領域における成果として、パナソニック ホールディングス 技術部門の事例も紹介した。これまで技術部門が掲げてきたビジョンは技術ドリブンの視点で描かれていたが、未来構想を起点とした思考の転換によって、未来起点×人間中心の考えに基づく技術未来ビジョンの策定につなげることができ、研究開発テーマや体制の見直しといった変化の兆しをもたらしたという。

パナソニック ホールディングス 技術部門での成果(1) パナソニック ホールディングス 技術部門での成果(1)[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス
パナソニック ホールディングス 技術部門での成果(2)パナソニック ホールディングス 技術部門での成果(3) パナソニック ホールディングス 技術部門での成果(2)(3)[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

 前述の通り、当初事業部を対象にしていたデザイン経営実践プロジェクトの活動は、約3年で事業会社単位、機能軸へと対象を拡大し、着実にグループ内での広がりを見せている。デザイン経営実践プロジェクトが支援した部門/人数は、2022年6月時点で2部門/30人だったが、2024年11月時点では10部門/172人と約5倍にもなっている。同時に、自走力強化の成果として10以上もの自走プロジェクトが進行しているとのことだ。

「デザイン経営実践プロジェクト」の活動は着実に浸透し、グループ内で広がりを見せている 「デザイン経営実践プロジェクト」の活動は着実に浸透し、グループ内で広がりを見せている[クリックで拡大] 出所:パナソニック ホールディングス

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