連載「テルえもんが見たデジタルモノづくり最前線」では、筆者が日々ウォッチしているニュースや見聞きした話題、企業リリース、実体験などを基に、コラム形式でデジタルモノづくりの魅力や可能性を発信していきます。連載第7回は「『JIMTOF2024』で見た金属3Dプリンタ最新動向」をお届けします。
皆さん、こんにちは! テルえもんこと、小原照記です。
筆者は先日、「第32回日本国際工作機械見本市(以下、JIMTOF2024)」(会期:2024年11月5〜10日/会場:東京ビッグサイト)に行ってきました。JIMTOFは2年に1度開催される、世界有数の工作機械/機械技術の総合展示会です。最新の工作機械や機械工具、測定機、CAD/CAMソフトウェア、自動化技術などの展示が行われる中、3Dプリンタに関する展示も数多くありました。今回は、JIMTOF2024で見た3Dプリンタ関連の展示の中から、金属3Dプリンタに注目し、最新技術や動向について取り上げたいと思います。
金属3Dプリンタには、代表的な方式として「PBF方式」と「DED方式」の2種類があります。
PBFは“Powder Bed Fusion”の略称で、「粉末床溶融結合法」とも呼ばれています。敷き詰めた金属粉末に熱エネルギー(レーザー、電子ビームなど)を照射し、積層していく方式です。
一方、DEDは“Directed Energy Deposition”の略称で、「指向性エネルギー堆積法」とも呼ばれています。ノズルから供給される金属粉末、またはワイヤに、熱エネルギー(レーザー、電子ビーム、アークなど)を照射し、積層していく方式です。一般的にPBF方式に比べて精度は劣りますが、造形スピードが速く、大型部品の造形に適しています。また、必要な箇所に付加造形を施すことも可能なため、部品や金型の補修、異種金属造形などで利用されています。
今回は、主に上記2つの方式を採用した金属3Dプリンタを紹介していきます。併せて、各メーカー公式のYouTubeチャンネルの動画も掲載していますので、参考になさってください。
「LUMEXシリーズ」は、松浦機械製作所が開発する金属積層造形と高精度なCNC切削加工を組み合わせた“ハイブリッド金属3Dプリンタ”です。敷き詰めた金属粉末をレーザー照射で焼結させて積層しつつ、切削加工も行いながら、従来の製造方法では難しかった複雑で精密な仕上げが要求される機械部品や金型などを、一体構造で製作できます。
通常は、粉末を焼結するためザラザラとした表面の仕上がりになってしまいますが、積層造形と切削加工を交互に行うことで、仕上げ精度が高く、滑らかな表面を持つ製品を製作できます。また、微細な形状や複雑な内部構造が求められる部品の製作も可能です。対応している金属材料は、鉄系、ステンレス系、コバルトクロム系、ニッケルアロイ系、アルミニウム系などがあります。
例えば、射出成形金型の内部に複雑な3次元形状で配置された冷却水管を設け、冷却効率を向上させて成形サイクルを短縮し、生産性向上に寄与するといった活用事例などが挙げられます。
LUMEXシリーズには、造形サイズが256×256×300mmの「LUMEX Avance-25」と、造形サイズが600×600×500mmの「LUMEX Avance-60」の2種類があります。詳細なスペックなどについては、公式Webサイトを確認ください。
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