集客力の改善施策によりWebサイトへのアクセス数が増えたとしても、アクセスしたユーザーが満足しなければ、すぐにWebサイトを離脱してしまう。言うならばバケツに穴が空いた状態で水を溜めようとしているような状況になる。離脱を防ぐためにユーザーの満足度を図ることが重要になるが、それを測る指標として「エンゲージメント率」をKPIとして設定する。
エンゲージメントとは、アクセスしたユーザーが、次のいずれかに該当する行動を取った場合に「エンゲージメントあり」として計測される。
エンゲージメント率とは全体の訪問者のうち何%がエンゲージメントしたかを示す指標である。
KPI:エンゲージメント率
使用ツール:GA4(レポート<集客<エンゲージメント)
閲覧開始数が多いページを中心にエンゲージメント率を確認し、平均値より低いページがあれば改善対象とする。
Webコンテンツの見直し
コンテンツの内容が訪問ユーザーの期待に応えられていない可能性がある。ユーザーの検索意図をしっかり考慮して、コンテンツ内容を見直す。
ファーストビューの見直し
エンゲージメントしていないユーザーは、ファーストビューを見た瞬間に離脱している可能性が高い。ファーストビューで、ユーザーが探している情報がありそうだと感じてもらえるよう、期待感を持たせるための工夫を施す。
UI(ユーザーインタフェース)の見直し
訪問ユーザーが情報にスムーズにたどり着けるようにしたり、情報の理解を促すような工夫を施す。具体的には以下のような方法がある。
CVを測定するためには、事前にGA4で「キーイベント」を設定する必要がある。一般的な方法としては、問い合わせ完了後に表示されるサンクスページを作成し、そのURLにアクセスしたユーザーをCVとしてカウントするというものだ。
KPI:CVR=CV数/セッション数(サイト全体)
フォーム通過率=CV数/セッション数(CVページ)
使用ツール:GA4
参考目標として、CV率は1〜2%を1つの目標値に設定するとよいだろう。
改善方法としては、次の2つが有効だ。
(1)問い合わせページへの導線を増やす
問い合わせページへの導線が分かりにくいと、ユーザーが問い合わせ前に離脱する可能性が高まる。ユーザーがスムーズに問い合わせページにたどり着けるように導線を目立たせたり、増やすことが重要だ。
(2)ハードルの低い問い合わせ方法を検討する
問い合わせ方法が見積もり依頼などハードルの高いものだけになっている場合は、資料ダウンロードやサンプルテストなど、ハードルの低い問い合わせ方法を検討する。
参考目標として、フォーム通過率は20〜25%を目標値に設定するとよいだろう。
改善方法としては、以下の2つが効果的だ。
(1)コンタクトフォームの入力項目を見直す
フォームの項目数が多いと、ユーザーが途中で離脱する原因になる。入力項目を最小限に絞るだけでなく、入力例を示すなど、ユーザーがスムーズに入力できるような工夫を検討する。
(2)その他にできる工夫
送信ボタンを目立たせることや、送信完了画面前に表示させる確認ページを削除することで、ユーザーが確認ページで「入力が完了した」と勘違いすることを防止することも有効だ。
以上、B2B製造業が最低限押さえておくべきWebサイトの解析と改善手法について解説した。Webサイトの定期的な分析と継続的な改善は地味な作業だが、積み重ねることで大きな効果を生み出す。一定の知識が必要であるが、やみくもにリニューアルしたり広告を行うよりも、費用対効果が高いことが多い。まだ本格的に取り組んでいない企業は、ぜひ取り組みを進めていただきたい。
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徳山正康(とくやま まさやす)
テクノポート株式会社 代表取締役
製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手掛けるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。
グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家。
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