コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第19回のテーマは「BtoB製造業が最低限押さえておくべきWebサイトの解析と改善手法」だ。
多くの企業では自社Webサイトの新規作成やリニューアルに注力している。しかし、その後のアクセス解析や効果的な改善活動を定期的に実施しているケースは少ないのが現状だ。これまで多くの製造業のデジタルマーケティングを支援してきた当社の経験によれば、Webサイトのリニューアルよりも、継続的な改善活動を行う方が費用対効果が圧倒的に高いことが分かっている。
そこで今回は、B2B製造業が最低限押さえておくべきWebサイトの解析と改善手法について解説する。
まずは、製造業Webサイトの解析と改善における基本的な考え方について解説する。
Webサイトのアクセス解析を行う際、多くの企業ではGA4(Googleアナリティクス4)を使用している。GA4は取得できるデータの種類が非常に多いため、どのデータに注目して分析すればよいかを迷うことが少なくない。
そこで、今回はB2B製造業が最低限押さえておくべきポイントに絞って解説を進める。なお、SEO対策をメインの集客施策とする場合を想定しているので、その点をあらかじめご了承いただきたい。
アクセス解析において確認すべきポイントは、大きく分けて「集客力」「エンゲージメント」「CV(コンバージョン)力」の3つだ。
(1)集客力
まずは、検索エンジンを利用するユーザーがどれだけ自社のWebサイトにアクセスしているかを確認する。検索エンジンから各Webページへの流入状況を把握し、改善できそうなポイントを模索する。
(2)エンゲージメント
次に、Webサイトを訪れたユーザーの満足度を確認する。ユーザーの満足度が高ければ、Webページ内での回遊や問い合わせといった次のアクションにつながりやすくなる。その満足度を測るための指標として「エンゲージメント」を採用する。なお、エンゲージメントとはGA4で取得できるデータの種類を指しており、詳細は後述する。
(3)CV力
最後に、CV力を確認する。CV=コンバージョンとは、問い合わせや資料ダウンロードなど、目標とするユーザーの行動のことだ。どの行動を目標に設定するかはWebサイトの運営者が決めるが、問い合わせや資料ダウンロードを設定するのが一般的だろう。アクセスしたユーザーの中で、どれだけの割合が実際にCVに至ったかを測定する。
集客力が低い段階でエンゲージメントやCV力を測定しても、十分な分析を行うことができない。そのため、まずは集客力の強化に注力することが重要だ。
KPIに対して、どれくらいの数値目標を設定すればよいか悩むケースは多い。インターネットで調べれば一般的な平均値の情報は見つかるが、実際には業態やターゲットとする顧客、そして商材の単価によっても大きく変わる。
そのため、一般的な平均値は参考程度にとどめ、まずは過去の実績をしっかり把握したうえで、今後はどれくらい伸ばせるかという観点で目標値を設定するのが適切だ。現状のCV力を把握し、獲得したいCV数から逆算して、各KPIの数値目標を設定するのが望ましい。
アクセス解析を行う際、多くの企業がWebサイト全体を対象に分析を行う。しかし、全体のアクセス数だけを追いかけていると、増減に一喜一憂するだけで、具体的な改善策を見いだすのが難しくなる。分析はページ単位で行うことが重要だ。ページ単位での分析を行うことで、具体的な改善策を見付けやすくなり、効果的な施策を実施できる。
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