東京大学らは、耐熱コーティング材に添加するハフニウムやケイ素が、コーティング材の寿命を伸ばす仕組みを解明した。耐熱材料コーティング材の剥離防止と長寿命化が期待される。
東京大学は2024年8月30日、耐熱コーティング材に添加するハフニウム(Hf)やケイ素(Si)が、コーティング材の寿命を伸ばす仕組みを解明したと発表した。物質・材料研究機構、川崎重工業との共同研究による成果だ。
ジェットエンジンのタービンに使用するニッケル(Ni)基超合金に施される耐熱コーティングは、ボンドコートとトップコートの複層構造となっている。コーティング材が剥離する要因は、2つの層の間で生成されるAl2O3(アルミナ)などの酸化物(TGO)による亀裂だ。
研究グループは、ボンドコート(NiCoCrAl)の代表元素であるNiの(111)面とTGOであるAl2O3の(0001)面を重ね合わせ、界面に配置した添加元素の作用を第一原理計算により解析した。
その結果、界面エネルギーを低下させる効果はSiが最も高く、次いでHfなどの第4族元素、第3族元素となることが判明した。同じ族の元素の中では、電気陰性度が小さい元素ほど界面エネルギーが低下する。
元素添加の有無による電荷密度差を調べたところ、第4族元素のHfとジルコニウム(Zr)、SiがNiと強く結合しており、これにより密着性が向上すると考えられる。また、イットリウム(Y)を単独で添加するよりもY、Hf、Siを同時に添加する方が高い効果を得られることが立証された。
同研究成果により、界面エネルギーを踏まえた添加元素の選択が可能となるため、今後、コーティング材の剥離防止や長寿命化に寄与することが期待される。
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