本連載第91回で、米国の研究開発領域におけるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)やデータの相互運用性標準化に向けた動きを取り上げたが、その後、臨床現場における医療データ流通やAI利用が本格化している。
本連載第91回で、米国の研究開発領域におけるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)やデータの相互運用性標準化に向けた動きを取り上げたが、その後、臨床現場における医療データ流通やAI(人工知能)利用が本格化している。
本連載第103回で触れた米国保健福祉省(HHS)国家医療IT調整室(ONC)の「医療データ、技術、相互運用性: 認証プログラムの更新、アルゴリズムの透明性、情報共有(HTI-1)」最終規則は、2024年2月8日に施行された(関連情報)。
このHTI-1最終規則は、以下のような目的を掲げている。
医療AI政策の視点からは、「バイデン−ハリス政権の大統領令の目標達成」の「大統領令第14110号(人工知能の安心、安全で信頼できる開発と利用)」(関連情報)に関連して、「アルゴリズムの透明性」が追加された。図1は、HHS全体の医療AI政策における医療IT調整室(ONC)と、公民権室(OCR)や食品医薬品局(FDA)との役割分担を示したものである。
本連載第65回で触れたように、米国連邦政府は、オバマ政権以降、「2010年政府業績評価(GPRA)現代化法」(関連情報)の下で、組織横断的な「クロスエージェンシー・プライオリティ(CAP)」目標を柱とする行政デジタルトランスフォーメーション(DX)施策を推進してきた。大統領令に呼応した医療AI促進政策においても、HHSは、省内各部局の枠を超えた連携/調整機能を重視する姿勢を示している。
その後2024年7月25日、保健福祉省は、技術・サイバーセキュリティ・データ・人工知能(AI)戦略および政策機能の簡素化と強化を目的として、国家医療IT調整室(ONC)、長官補室行政担当(ASA)、戦略的準備・対応管理局(ASPR)に渡る組織改編を行ったことを発表した(関連情報)。組織改編の概要は以下の通りである。
その上で、ASTP/ONCはチーフテクノロジーオフィサー室を設置し、チーフAIオフィサー室(OCAIO)、チーフデータオフィサー室、新たなデジタルサービス室などに対して、保健福祉省レベルおよび連邦政府全体レベルの調整役を担うとしている。
他方、チーフAIオフィサー室(関連情報)は、本連載第71回で取り上げた「HHS AI戦略」(関連情報、PDF)をベースに、以下のような業務に注力するとしている。
また、チーフデータオフィサー室(OCDO)(関連情報)は、本連載第103回で取り上げた「2023〜2028年HHSデータ戦略」(関連情報)をベースに、以下のような業務に注力するとしている。
参考までに、図2は、新たな長官補室技術政策担当/国家医療IT調整室(ASTP/ONC)の組織図を示している。
なおASTP/ONCは、今回の組織改編に合わせて、人材募集活動を行っている(関連情報)。ただし、AIやデータサイエンスの専門人材の確保は、民間企業だけでなく医療行政機関にとっても、鬼門となっている。
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