本連載第67回で、米国のトランプ政権からバイデン政権への移行期における医療イノベーション支援策を取り上げた。今回は、それらのイノベーション支援策の中から医療AIに焦点を当てて取り組みを紹介する。
本連載第67回で、米国のトランプ政権からバイデン政権への移行期における医療イノベーション支援策を取り上げた。今回は、それらのイノベーション支援策の中から医療AI(人工知能)に焦点を当てて取り組みを紹介する。
2021年1月12日、米国保健福祉省(HHS)食品医薬品局(FDA)医療機器・放射線保健センター(CDRH)傘下のデジタルヘルス・センター・オブ・エクセレンス(DHCoE)は、「人工知能/機械学習(AI/ML)ベースのソフトウェア・アズ・ア・メディカルデバイス(SaMD)行動計画」を公表した(関連情報)。
DHCoEは、責任ある高品質のデジタルヘルス・ソリューションを促進することによって、医療を進化させるようステークホルダーに権限を付与することを目標として、2020年9月22日に設置された新組織であり(関連情報)、以下のようなサービス機能を所管している。
DHCoEは、過去にFDAが取り組んできた活動の中で、サイバーセキュリティ、デジタルヘルスソフトウェア事前認証(Pre-Cert)パイロットプログラム、AIやMLの機能を有するSaMD、モバイルヘルス機器、医療機器として使用されるウェアラブルなどを引き継いでいる。
DHCoEは、FDAが2019年4月9日に公表した「人工知能/機械学習(AI/ML)ベースのソフトウェア・アズ・ア・メディカルデバイス(SaMD)を修正するための規制フレームワーク提案」(関連情報、PDF)と題するディスカッション・ペーパーおよびそれに対するフィードバックを踏まえ、AIおよびMLについて、以下のように定義している。
その上で、AI/MLベースのSaMD行動計画では、以下の5つの行動領域を設定している。
なお、AI/MLベースのSaMDのサイバーセキュリティについては、「2.グッド・マシンラーニング・プラクティス(GMLP)」の中で、FDAの医療機器サイバーセキュリティプログラムと連携しながら追求するとしている。
2021年2月1日には、FDAの医療機器・放射線保健センター(CDRH)が、医療機器サイバーセキュリティのディレクター代理(任期:1年)に、ミシガン大学准教授のケビン・フー氏が指名されたことが公表された(関連情報)。フー氏は、DHCoEのサイバーセキュリティ部門も統括するほか、保健福祉省(HHS)傘下の他部局や国土安全保障省(DHS)傘下のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャ庁(CISA)などとの調整業務も担うことになっている。
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