米国はバイデン政権へ移行、医療機器のイノベーション支援策はどうなるのか海外医療技術トレンド(67)(1/3 ページ)

米国はトランプ政権から新たに大統領に就任するジョー・バイデン氏の次期政権に移行することとなった。医療機器のイノベーション支援策はどのような形で引き継がれるのだろうか。

» 2021年01月15日 10時00分 公開
[笹原英司MONOist]

 本連載第27回で、米国のオバマ政権からトランプ政権への移行期における「21世紀医療法」起点のイノベーション推進策を取り上げた。あれから4年が経過し、米国はトランプ政権から新たに大統領に就任するジョー・バイデン氏の次期政権に移行することとなったが、医療機器のイノベーション支援策はどのような形で引き継がれるのだろうか。

COVID-19対応期の米国でも進むスタートアップ主導の医療機器開発

 2020年12月30日、米国食品医薬品局(FDA)傘下の医療機器・放射線保健センター(CDRH)は、2020年1月1日〜12月28日の間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応状況について整理したインフォグラフィックを公表した(図1参照、関連情報)。

図1 図1 米国FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)のCOVID-19対応(クリックで拡大) 出典:FDA「Center for Devices and Radiological Health‘s Response to Coronavirus (COVID-19): Infographic」(2020年12月30日)

 規制の柔軟性についてみると、FDAは、2020年に11件の緊急使用許可(EUA)テンプレートと26件のガイドライン類を発行している。特にEUAについてみると、1年間で608件の医療機器を承認している。このうち検査・収集キットは399件で、分子検査が235件、抗原検査が11件、抗体検査が63件となっている。なお、FDAが受け付けた事前EUA申請は1995件、EUA申請は3521件となっている。

 本連載第27回第39回で、21世紀医療法に基づく「デジタルヘルス・イノベーション行動計画」(2017年7月27日、関連情報、PDF)や、「画期的機器(Breakthrough Devices)プログラム−業界および食品医薬品局スタッフ向けガイダンス」(2018年12月18日最終版公表、関連情報)、「医療機器市販前承認、De Novo分類、人道機器適用免除におけるベネフィット−リスク決定の不確実性の考慮−業界および食品医薬品局スタッフ向けガイダンス」(2019年8月29日最終版、関連情報)を取り上げた。

 2018年9月に承認されたアップルの「Apple Watch Series 4」向け心電図(ECG)アプリケーションで広く知られるようになったDe Novo分類申請は、COVID-19緊急対応の影響下でも堅調に推移している。FDAのDe Novo分類データベース(関連情報)によると、2019年1〜12月の間のDe Novo分類に該当する医療機器製品が総数23件であったのに対し、COVID-19緊急対応が続いた翌年の2020年1〜12月の間は、図2に示す通り、総数26件となっている。それらの開発元の大半を、新興のスタートアップ企業が占めている点が米国市場の特徴だ。

図2 図2 米国FDAにおける2020年1〜12月のDe Novo分類医療機器一覧(クリックで拡大) 出典:FDA「Device Classification Under Section 513(f)(2)(De Novo)」(2021年1月11日時点)
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