日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、エアコンや冷蔵庫などの白物家電に用いられる出力150〜250Wのモーターアプリケーション向けに、99%超の効率を実現するGaNデバイスを用いたIPM(インテリジェントパワーモジュール)「DRV7308」を発表した。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2024年6月19日、オンラインで会見を開き、エアコンや冷蔵庫などの白物家電に用いられる出力150〜250Wのモーターアプリケーション向けに、99%超の効率を実現するGaN(窒化ガリウム)デバイスを用いたIPM(インテリジェントパワーモジュール)「DRV7308」を発表した。既にサンプル出荷を開始しており、1000個購入時の参考単価は5.5米ドル(約860円)。
DRV7308は、米国本社のTIが開発に注力しているGaN FETや駆動IC、制御ICを1個のパッケージに集積したIPMである。GaN FETの耐圧650Vで、3相のモーター制御に必要な6個を搭載しており、駆動ICや制御ICの他に、電流センスアンプや保護機能なども内蔵している。これらの機能を集積しながらパッケージの外形寸法は12mm角であり、一般的なシリコンベースのIGBTやMOSFETを用いたIPMと比べてサイズを最大55%削減できるとしている。
パッケージサイズが小さいだけでなく、GaN FETの特性に基づくスイッチング時の電力変換効率の高さも大きな特徴だ。スイッチング周波数15kHz/出力250Wの場合、競合企業のシリコンIGBTベースIPMの電力変換効率は97%超だが、DRV7308は99%超を達成している。これによりIPMからの発熱が小さいため、シリコンIGBTベースIPMでは必要な外付けヒートシンクが不要になる。さらにDRV7308は、デッドタイムと伝搬遅延がともに200ns以下と業界最小クラスであり、スイッチング時の可聴ノイズやシステム振動も大幅に低減できるという。
例えば、シリコンIGBTベースのIPMを用いた出力250Wのモーター制御回路のプリント基板サイズが70×47mmであるのに対し、DRV7308を用いたモーター制御回路は追加の内蔵機能の効果も含めてサイズを40×23mmに削減できている。プリント基板の面積比では72%の削減となっているが、外付けヒートシンクが不要なので容積比ではさらなる小型化が可能なことを意味している。
DRV7308は、評価ボードの「DRV7308EVM」も提供されている。価格は250米ドル(約3万9400円)だ。
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